佐藤可士和著「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」から、佐藤可士和さんの気配りや人柄を感じました。

テレビ番組で有名デザイナーの
佐藤可士和さんの活躍を知りました。

ユニクロの海外進出(確かニューヨーク店)の
プロモーションの様子だったように記憶しています。

どうしたら佐藤可士和さんのような
活躍ができるのかといったビジネス的な視点に加え、
佐藤可士和さんという人物そのものに興味を持ちました。


というわけで本日は、佐藤可士和さん著

佐藤可士和のクリエイティブシンキング」

をご紹介します。


佐藤可士和さんは小さい頃から絵を描くのが大好きで、
美術大学にはいり、その後広告代理店を経て独立します。

デザイナーと云いますと、
絵(というかつまりデザイン)ばかり
書いているような印象を持ちますが、

本書にも紹介されるとおり、
ビジネスの企画やコンセプト作りなど、
様々な仕事をします。

知り合いのデザイナーに聴くと、
例えば企業のマークを作る際に、

A案、B案・・

とデザイナーが優れた図柄を作るのですが、
最終的に一つに決定するためには、
誰もが納得するロジックが必要で、

このロジックを考えるが、デザイナーの
大切な仕事なのだそうです。

なんとなく、
A案、B案・・と、
小綺麗な図柄をデザイナーさんが書いて、

その中から会社のエライさんや社員アンケートで
企業のマークが決まるようなイメージを持ちますが、
そうゆう訳ではないのです。

このへんの話しを本書では、
東京都交響楽団」や「グローブライド※」の、
※旧社名ダイワ精工

CI(コーポレート・アイデンティティ)例で
紹介されます。

CIは、
事業内容や企業理念をマークに表すことで、

雑な言い方をすると、
新しい社名や会社のマークに変更することです。

マークだけでなく時には会社名なども
変更するわけですから、
とくに社内の大きな関心事となります。

本書によれば、
デザイナーに仕事を頼むと勝手に綺麗なマークが
できあがってくるかのように思う
クライアントが多いそうです。

CIプロジェクトを成功させるには、
企業や団体のメンバーが、
自分で頭を悩まして考えて決めているような、
主体的な活動に盛り上げていくことが、
成功の鍵と云います。


本書で最も印象に残ったのは、
プレゼンテーションでは
「説得よりも共感を」と題した章です。

プレゼンのデザインや話法にこだわり、
説得に力を力を入れたプレゼンテーションを
しがちですが、佐藤可士和さんは、

==
 ほとんどの場合、
 自分がその問題に対して考えたプロセスを、
 順を追ってしゃべっているだけです。

 僕にとって、プレゼンテーションは
 説得の場ではありません。

 仕事を一緒やっていく人たちへの共感を
 得る場だと思っています。<p59>
==

と述べています。

私もコンペの仕事をすることも多いのですが、

ライバル企業に勝つためには・・・、
自社の優位性をお客さんを説得するためには・・、

といった思考で仕事を進めがちです。

他社とのコンペのプレゼンにおいて、
一緒に仕事をする人達(つまりお客様)を
イメージできるというのは、
本当に凄いことだと思いました。

プレゼンでは、”共感”を。

という佐藤可士和さんの流の思考法を
覚えただけでも、
本書を読んだ甲斐があったと感じます。


本書は、ビジネス本というよりは、
どちらかと云えば、企画系のお仕事を
されている方向けの本と思いました。

本書を読む前に、
デザイナーさんの書く文章は、
正直どんな物かと感じていたのですが、

予想に反して丁寧で大変読みやすい文章でした。
佐藤可士和さんの素晴らしい人柄を感じた
今日の一冊です。



※本書は日経産業新聞2008年6月から
約半年間掲載された
「クリエーティブのひとつまみ」を
ベースに大幅加筆修正したものとのことです。


 
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