宋 文洲「華僑流おカネと人生の管理術」は、日本人の常識を越えるための良書と思いました。

尖閣諸島に隕石が落ちるとよい」

そんな発言をテレビでしてしまい、
大きな波紋を呼んだ中国の方がいます。

彼は北大の大学院に留学をして、
その後勤めた会社が倒産。
仕方なく学生時代に研究開発した
土木建築のソフトウェアを販売する
会社を起業します。

その会社は10年ほどで上場し、
創業者の彼は、
日本で最も成功した中国人等と
言われています。

しかし現在は自ら作った会社を
あっさり離れ、
自由な立場で発言をし、

日本人なら言わないだろうなぁ〜。
ということをズバズバ言うわけです。

私もTwitterのフォローをしており、
その超過激発言が気になることが多々あります。

しかし彼の発言の裏側には、
25年も日本に住んだ、
日本への愛情があると思います。

私たちの多くは、
日本のマスコミの情報が全てです。

そうした意味で彼の発言は、
世の中(世界)の感度を知る貴重なセンサーと
して機能するのではないかと考え、

特に日本を日本人以上に知る中国人として、
私が彼の発言に注意深く耳を傾けている次第です。


・・という訳で、本日は宋 文洲さん著

「華僑流おカネと人生の管理術」

をご紹介します。


若干前振りが重くなってしまいましたが、
本書はタイトル通り、海外でビジネスを行う
中国人(通称華僑)の考え方を、
著者である宋 文洲さんの経験に照らし合わせ、
紹介したものです。

華僑という言葉は、
社会の教科書でも紹介されるぐらい有名ですが、
その実態は我々日本人には良くわかりません。

なんとなく中華街の人達が仲良くビジネスを
行っている位のイメージです。


最初に紹介した通り、
現在、日本でもっとも成功したと云われる、
宋 文洲さんも、
最初は地元(?)北海道の小さな会社に就職します。

その会社が倒産したことがきっかけで、
起業することになります。
そして、起業当初は日本の経営書ばかり読んでいた。
と云いますので、

私の勝手な想像ですが、
最初は、宋 文洲さんも華僑という意識
は無かったのではないかと思います。

実際に華僑の教えを意識し出すのは、
起業した会社経営が上手く行かず、
華僑の先輩からの教えに従い、
方針を変更したことで、
経営が徐々に軌道に乗ってからです。

この話しの経緯は、
長くなりますので止めますが、
結局彼(宋 文洲さん)は、経営が上手く行かないのは、
授業員への甘えではなかったか。と振り返ります。


本書には印象深い話しや、
参考にしたい。真似たい。
と思う話しが多々あります。

例えば、
野球の試合で、
「今日は○×投手に賭けた」
のようなコメントを勝利インタビューの監督が
話したりします。

「監督なんだから、万が一を考えて、
ローテーションなど次の投手の事を考えるべき」

宋 文洲さんはこのように言います。

いわれてみると、ごもっとも。
と思うのですが、

日常のビジネスでは、

A技術、Bビジネス、Cさん・・・
に会社の未来を賭ける。

このような話しはよく耳にします。

しかし、
華僑の人達はどんな時もリスク分散をするので、
何か一つに賭けることはしないのです。

華僑の人達にとっては、
国も華僑の人達も親戚でさえも
信じられる対象では無いのです。

世界の中で生きていくというのは、
そうゆうことだと思います。

ビジネスの世界でも、
危機管理とかリスクヘッジなどと言われますが、
華僑の人達は、それが徹底しています。


また、私が個人的に心に残ったのは、

「三把刀」ビジネスを始めるという発想です。
理髪店、裁縫屋、中華料理店を差し、

はさみや包丁など、
ちょっとした道具と技術さえあれば
世界中で需要がある商売のことを指します。

ビジネスを始める前にあれこれ考えて
時間をなくすより、
手堅く・直ぐに始められる事から始め、
商売をやりながら発展していくのが良いと云います。

私も何かやりたいと思うことは多々あるのですが、
「何を」の部分が決まりません。

「自分探し」と称し、
何も出来ない状況とも似ているのですが、

何でも良いからはじめて、
やりながら考える思考も大切と思いました。

他にも、「家書」とよばれるその家独特の
言い伝えがあるそうです。

ユダヤ人の教えとも似ていますが、
私がこのブログを書いている理由の一つは、
「家書」のような本を一冊作ってみたいからです。

是非真似して見たいと思います。


華僑考え方の基本となる発想は、

どんな場所でも、
どんな状況でも生き残る。

ことです。

しかし、我々日本人の多くは、
このような危機管理の発想を持ちません。

それでも安心して生きられる日本は
素晴らしい国と感じます。

そうした日本を守るには、
気付いた人が危機管理能力をもつ人を
増やしていくことだと思いました。

そういった意味で、
本書は素晴らしい示唆を与えてくれます。

本書には、
宋 文洲さん自身が中国に行って
変な物を買ってしまった話しをはじめ、
投資で失敗した話し、
詐欺に遭った話し、
奥さんから叱られた話し、
世間からのバッシング、
・・・etc.

本にするのは恥ずかしいと言いながらも、
私(日本人)なら、
墓場まで持って行きたい
というか既に記憶から抹殺したような内容も、
この本には書かれています。

つまり、宋 文洲さんという人は、
本当は正直な人ではないかと感じました。



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