エルバード・ハバード(著) 中島 孝志 (訳・解説) 「あなたはガルシアに手紙を届けられるか?―「会社で一番必要な人」になる6つの能力」を読みました。

その昔、
日本がロシアと戦争をしていた頃です。

日本の捕虜となったロシアの兵隊さんが、
全員ある冊子を持っていたそうです。

あるアメリカの軍人さんの物語で、
今時のビジネス本のような内容でした。

その内容の良さは、
時の天皇の知るところとなり、
天皇の命により軍人・民間人を問わず、
様々な人に配ることになったそうです。

・・と、こんな話しを何かの本で読んで、
どんな内容なのかと、
俄然興味がわいてきました。


・・という訳で本日はエルバード・ハバードさん著、
中島 孝志 さん 訳・解説 の

 あなたはガルシアに手紙を届けられるか?
 ―「会社で一番必要な人」になる6つの能力

をご紹介します。


冒頭に書いた、
アメリカ軍人さんの物語とは、

アメリカがスペインとキューバの独立を
めぐって戦争をしていたとき、

主人公であるアメリカ軍人ローワンが、
キューバにいる、
反スペイン派の中心人物。ガルシア将軍に、
大統領の親書を届けたという話しです。

ローワンは、
何処にいるのか分からない
ガルシア将軍へ手紙を届けるため、

単身スペインに乗り込み、
スペイン軍がうじゃうじゃ居る中を、
三週間キューバを歩き、
無事に手紙を届けました。

※「ガルシアへの手紙」をネットで検索
 して頂くと全文出てきます。


どんな物語かと期待すると、
たったこれだけなのですが、

そのあとに、
著者のエルバード・ハバードさん
が解説を加えていまして、

この解説がミソなのです。
個人的に気になった点を幾つかあげてみます。

・そもそも(会社に)雇われる人たちは、
 自分がローワンの候補だという自覚がない。

・部下に仕事を頼んだら、
 どうやってするんですか?
 そもそも私の仕事ですか?
 ○×にやらせたらどうですか?
 急ぎですか?
 ・・・つまらないことを聞いてくる。

・どこでもどんな時代でも優秀な人材を探している。

といったものです。

本書では更に中島孝志さんの解説が加わります。

その内容はビジネス本的なもので、
「ガルシアの手紙」には、
6つの学ぶべきポイントがあるといいます。

 1.問題を洗い出し、解決する力
 2.徹底的に「考え抜く」力
 3.”いざ”という時に爆発する「勇気」の力
 4.自分が”主役で行動する”力
 5,周囲を「巻き込む」力
 6.最後に笑う人の「執念」の力

この「ガルシアの手紙」の短文から、
ここまで深く考えられる所は、
素晴らしいと思います。

ひとつだけ個人的に違和感を感じたのは、

著者のエルバード・ハバードさんも、
解説の中島孝志さんも

ローワンが仕事を引き受けるにあたって、
一度も「ガルシア将軍」の居場所を
聞かなかった点を褒めています。

中島孝志さんの解説では、
ローワンが質問をしなかったのは、

自分に仕事が来たからには、
難しい仕事に違いない。
やり抜かねばならない。
といった自分が”主役で行動するという強い
意思があったから質問をしなかった。
とあります。

他の解説でも、
同じように居場所を聞かなかったことが
評価されているのですが、

仕事を頼むに当たっては、

「これこれしかじかの事情で、
ガルシア将軍の居場所は分からない。

しかし、ローワン君に期待している。
頑張ってくれたまえ」。

位の話しがありそうな気がします。
今時の人だったら、

「えー」

とか言いそうですが、

昔の軍人さんなので、ただ、

「YES Sir」

と答えただけではないかと思うわけです。

また、ビジネス(本)的には、
仕事を受けるに当たって様々な確認行為は
すべきです。

何も聞かないことが評価されるのは、
やや疑問と感じます。

特にエルバード・ハバードさんの解説では、
仕事をやれと言われたら、
つべこべ言わず、黙って真面目に仕事しろ。

的な考えが感じられ、
軍隊的には正しいけど・・・
といった印象を感じます。


本書は解説の中島孝志さんが翻訳をしており、
読んで見ると、100年以上も前の話と
思えないぐらい絶妙で、
今時のビジネス書かな。と思うぐらいです。

ただ、明治天皇が配った感が無く、
後にキチンとした解説があることを考えると、
古く感じるような翻訳でも良かったのでは
無いかとも思いました。


なお、
本書の冒頭において、
次のような文章があります。

感動したので全文掲載しますが、なんとなく、
中島孝志さんのオリジナル文章かもしれません。

==
  もっと仕事ができるようになりたい。
  そして、もっと人から認められる自分になりたい・・・・・・。

  いつの時代にも、そう思っている人は多い。
  そのためにたくさんの本が出版され、多くのノウハウが世界中にあふれている。

  そんな、たくさんのノウハウを片っはしから頭に入れるより、私はみなさんに、
 一つの短い話しを聞いてもらいたいと思う。
  その話しは、ほんとうに短いものだ。でも、何十冊、いや何百冊ものホント同じく
 らいの価値があことは保証しよう。

  この話しを、いつも心の中におくだけで、あなたの人生におけるすべての
 問題が解決する!
 
  わたしにはそんなふうにさえ思えるのである。
==

本書の本題とは違いますが、
他にも心に残ったのは、
中島孝志さんの解説にある、
元オリンピックメダリストの有森裕子さんの苦労話です。

無名の選手から、
努力の末にメダルを勝ち取った事は知っていましたが、

成績が出ず、当時まだマイナーだった
トライアスロンに転向しようとしたところ、
親からの仕送りを全てつぎ込んだ競技用の自転車が盗まれ、
ラソン一本でいくと決めた話は知りませんでした。

有森裕子さんは大変お綺麗な方ですが、
当時、そこにしか目がいかなかった自分が
本当にイマイチだったと思います。汗)

最近、特に潜在能力の話しを書いていますが、
解説にもあるとおり、
ラソン一本で行くと決めたときには、
既に有森裕子さんの中では、
オリンピックのメダルを取ることを決めていたのです。

きっとローワンも、
命令を受けたときに、
既に手紙を届けることを決めていたわけですが、

多くのローワン候補生も、
困難な仕事を命じられたとき、
必ず完遂する。と心に決めて仕事に打ち込め!

それが本書の示すもっとも大切なメッセージ
と感じた今日の一冊です。



★★★ ツィッターやってます! ★★★
   https://twitter.com/h6takahashi