池波正太郎著「新編 男の作法 作品対照版」をよみました。

親はなくとも子は育つ

・・等といいます。


小さな子供を残し、
母親(又は両親)が亡くなったとき、

どうにかして周りの大人たちが
残された子供を育てていく、

そんな、
世間の暖かさを示した言葉のようです。

参考URL
ことわざ・親はなくとも子は育つ


最近読んだ本には、

人や猿などの霊長類は、
親よりも、
むしろ、

身近な同年代の子供達の影響を受け、
学習し成長することが示されていました。

私たちは、
周囲の人間(猿)と関係しながら
成長していくのです。

そのほうが生存には、
最適だったと云うことでしょう。


下手に個性を発揮せずに
独自の成長をするよりも、

周りと合わせたほうが生きやすい。
つまり、そうゆうことなのです。


本当の幸せを得るためには、
周りと比較するな。

・・そんな、
話しもよく聞かれますが、

霊長類が生きるために、
周りと比較しないのは
かなり難しいことなのです。


ところで、
子供ではない私(たち)は、
どうやって成長すべきか?

常日頃そんなことを考えているのですが、

私の場合、
迷わず「本」という具合になるわけです。


・・という訳で本日は、池波正太郎

「男の作法」をご紹介します。

本書は「男の作法」というテーマで、
鬼平犯科帳」で有名な池波正太郎氏に
編集者(佐藤隆介氏)がインタービューをして、
原稿にまとめたものです。

週刊誌などの連載ではなく、
インタービューの大半を湯布院で
行われたそうです。

収録を行ったのは昭和55年(1980年)の
ことで、今から30年以上も前の話しです。

本書では、
寿司屋の入り方から嫁の探し方、
死生観や人生の閉じ方まで、
・・・
男の人生について、
多岐に及ぶ話題が述べられています。

今頃こんなことを言っても、
若い人には通じない。
みたいなことを池上正太郎氏が云う
場面がありますが、

今頃読んで見ても、
これは古いなぁ〜。
という感じがしません。


本書は特に何歳向け。
ということが書かれていないのですが、
池上正太郎氏の言葉から、
30歳前後の人を対象としているのでは
ないかと思います。

今から30年前といえば、
男は30歳前には結婚し、
(40代で浮気をして)
70歳位で人生を全うする。

そんな人生の尺度で本書は語られています。
ですから40代50代は残りの人生を考える
ような話しがあります。

40代にしてようやく、
男の作法を身に付けないと恥ずかしいなぁ〜。
・・と本書を手に取った私は、
上記に違和感はないのですが、すこし微妙でした。

しかし、本書を読んでみて
今更知った(気付いた)話しは多い訳です。


以下に少しご紹介します。

・自分はこう生きたい。
 自分はこう生きねば成らないという、
 人生へのロマンがあった。

 ・・という話しで、
 戦国時代に槍の腕一本で活躍した
 「槍の勘兵衛」が紹介されます。

 彼は槍に人生を賭け、
 自分をより高く買ってくれる大名に、
 今で云う転職をしました。

 今時のサラリーマンは、
 「休まず、遅れず、働かず・・・」
 と皮肉っていますが、

 結局人生を賭けるような仕事についていない。
 ことが原因であるといいます。

 人生を賭ける。

 この意味を深く考えさせられました。

・一つの仕事で2つ3つの成果を挙げる。
 池上正太郎氏が舞台の演出をしていたときは、
 役者を売り出し、
 作家に舞台の取材本を出させ、
 カメラマンには舞台の写真集をださせ、
 ・・・
 と一つの舞台から、いくつもの成果が
 でるように心がけたそうです。

 この発想は早速仕事に生かしたいと思います。


・何時死んでも言いように夫婦仲を良くする。
 今頃知って驚いたのですが、
 特に武士の時代は、侍である旦那さんは
 いつ首(本物)を切られたり、
 切腹させられたりしてもおかしくありませんでした。

 ある日突然、誰かの責任を取らされたりして、
 切腹することは珍しくない時代だったのです。

 武士に限らず、子供の死亡率は高く、
 大人でも現代のような医療技術もないため、
 常に死が身近にありました。

 そうゆう時代は、
 いつ旦那さんが切腹してもケンカ別れで
 後悔しないように、
 夫婦仲が良いのが生きる智恵だったようです。

 特に死生観や、死に方について、
 なかなか深いものがあります。


・・とこんな感じで、
本書はみっちり内容が詰まっておりまして、

いちいち考えてしまい、
案外読む時間がかかりました。

本の読み方にも少し触れられていて、
速読と言うよりも、
重要でない所を読み飛ばすようにしているそうです。


このように、
紹介仕切れないほどの内容が詰まっており、
一段上の男を目指す方には是非呼んで頂きたい、
今日の一冊です。



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追伸)
「男の作法」は2つのタイプがあり、
どちらも購入できます。

1984年に出版された「男の作法」

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※2011年に出版された、「新編 男の作法 作品対照版」

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私が購入したのは、2011年に出版された、
「新編 男の作法 作品対照版」です。

1985年版の「男の作法」に
テーマと関連する池上正太郎氏の小説の
一部と解説を加えたものです。

池上正太郎氏の言葉をそのまま読みたい方
にとっては、
思考が分断されるので少し余計な内容ですが、

小説を読んだ事が無い人や、
池上正太郎氏を味わいたい方には
「新編 男の作法 作品対照版」が良いと思います。



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