坪田聡著「脳も体も冴えわたる 1分仮眠法」は睡眠に関する様々な話題がコンパクトにまとまっています。

若い頃は夜遅くまで仕事をして、
そのまま家に帰って寝るだけ。

・・という毎日はもったいないと、
睡眠時間を削り、明け方に寝るような
生活を続けていました。
(ただ殆どはテレビやビデオをみて、
ムダに過ごしていた気もしますが・・・。)


しかし、
さすがに毎日3〜4時間の睡眠時間はきつくて、
その反動は週末にやってくるのでした。
すなわち起きたら夜。という生活です。
こんどは、週末が全く意味なく終わってしまいます。

ところが最近、
夜は寝ることにしました。
・・・というのは睡眠がことのほか大事であることを
知識として知ったからです。


・・・という訳で本日は坪田聡さん著

 「脳も体も冴えわたる 1分仮眠法」

をご紹介します。

本書の表紙には

「1分仮眠法」

の大きな文字が目立ちますので、
てっきり「1分仮眠法」がタイトルだと
思って購入しました。

たった1分で仮眠が取れるのか。
本当に寝付けて目が覚めるのか。
いったいどうやって行うのか。
・・

そのような、どちからといえば、
好奇心的な興味が募りました。


冒頭書いたように、
私は長いこと、極端な睡眠時間の
アンバランスと、昼夜逆転のような生活を
送ってきましたので、
睡眠に関して問題意識があり、
沢山の関連図書を読んできました。

そうした背景を持って読み進めてみると、
本書はどちらかと言えば、
1分間仮眠というよりも、
睡眠全般に書かれている内容でした。

文体が容易で、簡単に読み切れるものですが、
睡眠の科学をここまでコンパクトにまとめた本は
今までに読んだ事が無かったと思います。

さらに本書の特徴は、
本文中のセンテンスに用いる言葉が刺激的なことです。
本書の読み物としての面白みを増して良いと思いました。

例えば、

 睡眠不足はダイエットの大敵
 睡眠が不足すると脳はこわれてしまう
 身体がだるいのは細胞が死んでいる「危険信号」
 睡眠不足だと、どんどんん「老い」が進行する
 1分の仮眠が人生の質を上げる
 夜は絶対に眠る

・・・などです。

睡眠不足になると、
食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減り、
それに変わって、
食欲増進のもとになる「グレリン」の分泌が増える。

十分な睡眠が取れないと、
成長ホルモン(夜の10時〜2時に多く分泌)が減り
壊れた細胞が十分修復できない。

睡眠をしないと、老廃物の分解や
解毒ができなくなってしまう。

など、
睡眠に関する本を読んだことが在る人であれば、
知っている内容が多いのですが、

ちょうど成長ホルモンが出るであろう、
この夜中にブログに打ち込んでいていると、
少し怖くなってくる内容のオンパレードです。


また良く勘違いされる話しとして、
昼食後は胃袋に血液が集まって眠くなる
という説がありますが、
理由はそれだけではなく、
夜と昼の2回の睡眠のピークがあることや、

朝の二度寝が気持ちよいのは、
寝起きに分泌される「コチゾール」という
ホルモンが2度放射されるからで、
著者は「コチゾール」によりストレスが
低減されることから、
(ビジネス本などにある)二度寝を禁止して
いないようで、ちょっと意外でした。

その他に30分以上の仮眠は、
仮眠後の睡眠惰性という現象により
パフォーマンスが低下することや、

徹夜などの睡眠不足でも、
翌日はあまり長く睡眠しないほうが
良いとしています。

私など、一晩徹夜したら、2〜3日は、
寝てばっかりの生活になりますが、
それはダメなようですね。


さて、肝心の1分仮眠法ですが、
数秒から長くて数十秒の、
マイクロスリープと呼ばれる睡眠時間でも
十分な効果が得られるという研究があります。

本書では1965年に11日間断眠をし、
世界記録を作った高校性が、
たまに1分程度目を閉じ、

「目を休めていただけ」
と言った事例を挙げます。

彼にとっては本当に目を休めていたつもりですが、
無意識のうちにマイクロスリープを利用して
世界記録を作ったのではないかと説明しています。

実は目から入ってくる視覚情報は、
脳にとっては膨大な処理量で、
それを一瞬でもシャットダウンするだけで、
大脳皮質が休まるのだそうです。

もちろん、それだけでは睡眠は十分でありませんが、
日中に数回、1分程度目を閉じるだけでも、
夜の睡眠不足が補えるということです。

本書では1分仮眠に続き20分仮眠法
が紹介されております。

そして1分仮眠と20分仮眠の二つを夜の睡眠と
組み合わせることで睡眠不足を補い、
日中の活動のパフォーマンスを最大限に
あげることを推奨しています。

著者によれば、睡眠不足で活動することは、
お酒を飲み酔っぱらいの状態で活動するのと同じ。
程度のパフォーマンスしか出ない。
ということですから、大いに心動かされます。

私も兼ねてから日中の仮眠(つまり昼寝)
の効果は知っていたのですが、

加えて今回本書を読み、
1分でも効果があると云うことを知って、
早速実践しています。

とにかく本書は睡眠に関する重要事項が
コンパクトにまとまっているため、
よりよい生活のための基本知識として、
幅広い方に読んで頂きたい一冊です。



今日のアクセス:195828