橋本環奈主演「セーラー服と機関銃 -卒業-」は予想外に面白かった。前評判など気にせず映画館へGOです。

早くも3月です。
相変わらず映画館への足取りは重く、
本日ご紹介する映画で2本目です。(汗)

・・・と書いたのは去年の事ですが、
今年は更に悪い記録を更新しています。(大汗)

そんな訳で本日は、
今年初のブログ更新となります。
橋本環奈さん主演映画

 「セーラー服と機関銃

をご紹介します。


セーラー服と機関銃」といえば、
私が説明するまでもなく、
原作は赤川次郎さんの小説。
1981年に薬師丸ひろ子さん主演し、
決めセリフ「か・い・か・ん」
が有名なあの映画です。

私個人的には、
来生たかおさん作曲、来生えつこさん作詞の名曲
「夢の途中-セーラー服と機関銃
が超大好きです。

薬師丸ひろ子さんは、
私の少し上の世代ですが、
当時、薬師丸ひろ子さんの人気は絶大で、
小学生か中学生位の私でも、
この映画を3回以上は観ている筈です。
もちろん、この頃の彼女の代表作は
全部見ているはずです。

改めてWikiで当時の様子を調べてみると、
映画公開時のフィーバーぶりの凄さが読み取れます。
あのセーラー服は、実際に薬師丸ひろ子さんが
通学で使っていたということがわかったり、
名曲「セーラー服と機関銃」に対し、
角川春樹さんが、最低の曲とクレームを付けた
エピソードを知って驚きます。

その後この名作は
原田知世さん、長澤まさみさんと、
お宝女優さんにリメイクされるわけですが、

今年35年ぶりに、
1000年に一度の美少女、橋本環奈さんによって
銀幕に蘇ったわけです。

私としては、それだけで、
十分観る価値があると思いまして、
去年から映画を観るのを首を長くしておりました。

しかし公開早々に悪い情報がネットで飛んでいます。
1000年に一度の爆死とか、
橋本環奈の人気は幻だったとか、
観たくもない情報がネットから入ってきます。

そして映画を観る前に「セーラー服と機関銃」を歌う
橋本環奈さんを観てしまい、

歌の上手い下手以前に、なんかちがうなぁ〜。
髪が長いからかなぁ〜〜。
と違和感を感じ、やっぱり観て爆死する映画かなぁ〜。
と思いました。

しかし、それでもやっぱり気になるのです。
気になると云えばこの映画がR12指定の映画という
のも気になったのですが、
今日は絶対今日は貸し切りだ。と確信しつつ、
大雨の月曜のレイトショーに足を運びました。

・・ところがです、
私の予想に反し、人がちらほらいるのです。
暗いなか良く観れば橋本環奈さんに似つかわしくない、
おじさんが多い気がします。
どちらかというと、橋本環奈さんのお父さん世代
の気もするのです。
私も30歳位で結婚していれば、彼女ぐらいの子供が
いてもおかしくないわけです。(涙)

つまり、
私と同じように、薬師丸ひろ子さん世代の方
が見に来ているんだ。と直感しました。

どこかのブログにも書かれていましたが、
今時の橋本環奈さん世代の人は、
お金を出してまで映画を観ないのかも知れません。
薬師丸ひろ子さんの時は、
映画館に行列ができたそうですが、
いまどきそんな映画は「新劇の巨人」や
スターウォーズ」位なものかもしれませんね。


さて、今回のリメイク版は、
セーラー服と機関銃 -卒業-」
と”卒業”というサブタイトルが付いています。

映画ではストーリーを少し変えて、
主人公星泉が、目高組を解散し、
普通の(?)高校性として、
組員と過ごすシーンから始まります。

映画の冒頭、
古典(だったかな?)の授業が終わる
シーンから始まるのですが、
星泉は教室の一番前の教壇の下の席で寝ています。

授業が終わり目が覚めて、
周りの同級生の男子学生からから、からかわれるのですが、
この学生役と、この学生たちの絡みが違和感があります。
もっとシャキッとした男子学生が居なかったのか。
とか、普通女子学生とつるむんじゃないか。
とか思う訳です。
ちなみに、薬師丸ひろ子さんバージョンの予告編を
みてみると、男子学生はもっとシャキッとしています。
全体的に幼児化しているなどと云われるのですが、
これが現代のリアルなのかと感じます。

このように、
オリジナル版とリメイク版を比べていくのも、
リメイク版を見る楽しみの一つです。

今回のリメイク版に課題があるとすれば、
このキャスティングかな。と感じます。

ヤクザ役の長谷川博己さんや安藤政信さんが
メチャクチャ切れの良い演技をしているのに、
同じ画面に、伊武雅人さんや武田鉄矢さんが
出てる来ると、なんとなく微妙な絵になるのです。

決して伊武さんや武田さんが悪いわけでは
ないのですが、どうにもお二人の普段の人の良い
イメージが頭から離れません。
(武田さんのヤクザのスーツ姿とか妙にカッコ良い
のですが・・)

なんともアンバランスというか、
どっちの路線を目指しているのか解らない
映画となってしまった印象もあります。

このアンバランス感は最後まで続くのですが、
例えば、安藤政信さん、古舘寛治さんと鶴見辰吾さんの
悪者3人組が同席する最後のシーンでは、

安藤政信さんと古舘寛治さんが、メチャクチャ悪い
雰囲気を出しているのに対し、
この中の鶴見辰吾さんは良い人オーラがにじみ出て
しまうのです。
もちろんそうした演出であることは解っているのですが、
3人とも極悪人の演出でも良かったような気がします。

つまり高校性からおじさんまで、
切れ切れの路線の演技をする役者さんを集めて、
橋本環奈さんだけ緩い。
そんな映画でも面白かったのではないかと思いました。

映画では、橋本環奈さんがヤクザの親分として、
場を仕切っていくシーンが多々あります。

昔のセーラー服と機関銃では、
ヤクザの親分的なシーンはここまで多くなかった気がしますが、
今回は行き成り親分だったところから始まるので、
このようになるのかも知れません。
じゃっかんヤンキーのお姉さんという感じも無きにしも
あらずで、品というか何かが不足しています。

映画「セーラー服と機関銃」は、
突然極小ヤクザの親分を襲名することになり、
その突然感を、セーラ服姿で機関銃を持つという
アンバランス感で表現しているのです。
そしてその決めセリフが、最高に高校アイドル、
薬師丸ひろ子さんに似つかわしくない
「快感」という言葉です。

この設定を、映画に向けて髪を切り、
当時の薬師丸さんが実際に使用していた高校の制服
を着て演技をするのです。

単なるアイドル映画を超えたこの組み合わせが、
ヒット作を生んだのではないかと思います。

今回橋本環奈さんが着た制服は、
(調べてませんが)きっと衣装だと思います。
今時セーラー服も少なくなっていますし、
仕方ないのですが、そのような細かな積み重ねが、
何気に画面に現れてしまったのかも知れないと
思いました。
歴代星泉はショートですので、
橋本環奈さんも頑張って髪を切って出演する位すれば
もっと周りもしまったかも知れません。

そして究極の悪さが、彼女の自宅(事務所?)でも
ある「めだかカフェ」と思います。

この設定も事前に知っていたのですが、
どのようなセンスであのカフェが出来たのか、
まったく解りません。
幾ら地方とはいえ、現代の設定ではあり得ないでしょう。

この映画が爆死してしまった理由として、
橋本環奈さん世代は映画を観ないとか、
今時ヤクザの映画は流行らない。
とか云われますが、

私は、あの店を作ってしまうセンスに
全てが集約されていると思います。

もちろん地方のカフェ、
つまり喫茶店ですから、都心の喫茶店よりも
オシャレさは無いかも知れません。
映画の設定が、30年40年前だったらまだ解ります。
いまの映画なのです。

ほかにも地方のラブホテル(街)は実際にありそうですが、
今時の映画に映し出すには厳しい気がしました。

みんな!エスパーだよ!」のような、
地方を舞台設定にした面白い映画も最近あるのですが、
この作品は、地方を設定にする必要があったのか。
と思います。
地方から若者が居なくなる。
という社会問題を題材化しているのですが、
地方の人に観て欲しい映画なのかと思います。

とにかく不満が多く、
映画のことをココまで酷く書くのは
私的にも珍しいです。

しかし、
それを差し引いても、
この映画は面白かった。観て良かったと言い切れます。
見所も沢山あるのです。

一番良いのは、
切れの良い役者さん達の光る演技です。
一番は長谷川博己さんでしょう。

映画を観ながらも、長谷川さんと全く気付かず、
どこのエグザイルの人かと思って
最後まで観てしまったのですが、

逆三角形の体、切れ味の良さ、
汚れたスーツの着こなし・・・
役の作り込み、そんな全てがカッコ良い訳です。

また安藤政信さん率いる堀内組の演技も光ります。
安藤政信さんの少し狂ったような演技や、
古舘寛治さんの悪な感じもすこぶる良いです。

同じ映画の中に、
ぬるいシーンと、緊張感あふれるシーンが同居して、
それがシナリオ上の演出であることは良く分かります。
緊張感のシーンだけでも映画は持ちませんからね。

そして最大の見所と感じたのは、
長谷川さんと橋本環奈さんが、敵に追われて
雨の中を逃げるシーンです。
こんな真剣なシーンなのに、橋本環奈さんの
顔はにやついています。
しいていえば、好きな男との逃走に、つい
顔がにやついてしまう。という演出なのですが、
実際はどうでしょうね。
映画の予告編でもありますので、興味のあるかたは
観てください。


映画のストーリーは、企業のフリをして、
地方進出を狙うヤクザ堀内組が、
地元を縄張りとする浜口組を吸収し、
傀儡の市長を選挙に立て、
地方都市を食い物にしようとする様子に、
納得できない、
長谷川博己さん浜口組のヤクザと、
橋本環奈さん演じる目高組の星泉
懸命に食い止めようとするドラマです。

クライマックスでは、
堀内組と浜口組の宴会に星泉が乗り込み、
啖呵を切るのですが、堀内組につかまり死にそうになり、
部下の二人が倒れていきます。

普通の高校性には絶対に出来るわけが無く、
ファンタジーの世界です。

そして昔良く観たような、銃撃シーンに繋がります。
若干シーンが間延びしている気がしました。

そこで、
安藤政信さん演じる、堀内組の組長が、
地方を食い物にされたくなければ、
お前達若者が地方に残って年寄りの面倒を
観ればよい。と叫びます。

しかし、私もそうであるとおり、
地方には仕事が無いわけです。

この映画の根底に流れるモチーフと思います。
オリジナル版は都会の設定であり、
このモチーフが今回大きく違うと思うのです。

さきほどオリジナル版の予告編を見て
思い出したのですが、
オリジナル版のモチーフは、
親分星泉をしたう、若い組員達であり、
ダメな仲間達であり、
ヤクザという設定ながら、
友情愛情を主軸とした物語では
なかったのかと感じました。

今回の映画でも、先代の親方に拾われた
話しが出てきますが、
組長星泉との交流シーンがとても少ない
のです。
ヤクザ映画が時代に合わないというのは、
実は表面的な話しで、友情から地方へ
モチーフを変更してしまったところが、
今回の映画の課題ではないかと感じました。

そして注目の最後のシーンです。
オリジナル版と同じように、
敵である堀内組のビルに乗り込み、
そして機関銃を撃ち放ちます。

ここで決めセリフ「か・い・か・ん」といって
映画は終わるのかと思いましたが、
今回はちょっと違いました。

そして、画面は卒業式のシーンとなり、
橋本環奈さんがあの名曲を歌うわけです。
何度聞いても本当に良い曲だと思います。
橋本環奈さんが歌っても最高です。
(へんなアレンジでなくて更に良かったです。)

そして肝心のセリフの件ですが、
これから映画を観る人も居ると思いますので、
詳しくは書きませんが、
やはり、作り手も沢山の議論があったのでしょうね。

一番最後に黄色い浴衣姿で決めセリフを言ってました。
(という訳で、これから映画を観る人は、最後まで
観てくださいね。)


さて、ここまで延々と書いて置いて
肝心の橋本環奈さんのことを詳しく書いていませんね。

個人的に、長い時間、動く橋本環奈さんを観たのは
今回初めてですが、
ネットなどでみる写真とはちょっと違った雰囲気でした。

御年17歳ということで、
設定年齢よりもお若いですが、
劇中の中学卒業のシーンでも違和感なく、
むしろ卒業後にハイヒールを履いて
赤い口紅をしてお墓参りに行くシーンのほうが
違和感があったと思います。
大昔観た、安達祐実さんが口紅ぬった感じです。
もちろん、それもまた良しですが。

強いて云えば、長谷川博己さんとキスする
必要は無いと思いました。(凹)

薬師丸ひろ子さんバージョンも、
当時はアイドル映画といわれていましたし、
今回もアイドル映画とみんな思って観ているわけですが、

むしろアイドル映画とは思えないような
クオリティーの高さも感じる、
面白い映画と思いました。


前評判の割りには、
観て本当に良かったと思った今日の一本です。
他人の評価など気にせず、観たいと思ったら是非
足を運んで頂きたいと思います。


追伸)
ただ、映画のホームページや予告編はちょっとポップ
過ぎるというか、もうすこし格調高く作っても
良かったような気がしますね。軽すぎます。
角川映画40周年記念にしては、ちょっとなぁ〜。


映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」超絶カ・イ・カ・ン上映中!


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