榮倉奈々主演「図書館戦争」は観客満足度98.2%なのだそうですが、確かに予想に反して良い映画でした。

テレビを観ていない私が言うのもなんですが、

来年のNHK大河ドラマ
黒田官兵衛」が主役なのだそうです。

黒田勘兵衛は豊臣秀吉の参謀役として有名ですが、
秀吉から能力を高く評価されるとともに、

「官兵衛がその気になれば、
わしが生きている間にも天下を取るだろう」

・・と言い密かに恐れていたそうです。

戦国時代の大名の中でも、かなり仕事の出来る人
だったという訳ですが、

今と違うのは、
この時代、仕事ができすぎると、
逆に命取りにも成りかねないというということで、
黒田勘兵衛もまた苦労をしています。

その「黒田官兵衛」を演じるのが、
V6の岡田准一さんです。

ジャニーズの中でも、特に甘いマスクで、
こんな人も世の中にはいるんだなぁ〜。
と惚れ惚れするようなイケメンです。

しかし、そんな岡田准一さんにも
弱点があるということを、
今更ながら知ってしまいました。

・・という訳で本日は、
岡田准一さん榮倉奈々さん主演映画
図書館戦争」をご紹介します。


この映画は私の大好きな榮倉奈々さんが
主演しているのですが、
図書館戦争」というなんとも理解に苦しむ
タイトルに、観るべきかどうか悩みました。

図書館戦争」という小説(マンガ・アニメ)の
存在は知っていたものの、
タイトルに違和感がありすぎて、
少年モノのストーリーと思って、
あまり興味も在りませんでした。

映画の予告編を観てみても、
どうも、図書館で、何故戦争?
みたいなところが、やはり理解できず、

おじさん向けの映画でもなさそうだし・・。
・・と、相変わらず観る気がおきません。

そんな私が映画に興味をもったのは、
最近も週刊誌やネットで少し話題となっている、
メディア規制の記事を読んでいたら、

図書館戦争」の世界

という表現を発見し、
これは・・・と興味が涌いてきたのです。

何故図書館で戦争?

という一番の疑問点は、
映画では冒頭の数分で、その経緯が説明されます。

実に上手くまとめられており、
あんなに不思議だった図書館で戦争に至る道筋が、
すんなり頭に入ってきます。


本や映画、ネットなどのメディアを検閲し、
強制的に排除する法案ができ、
実行部隊として「メディア良化委員会」が組織され、

不良図書と指定された本に対し、
家宅捜索というか強制捜査のように本屋さんに立ち入り、
次々と本を没収し廃棄処分とします。

そのなかには、
小説や子供向けの絵本のような
ものまで含まれるのですが、

どこまでが善で、どこからが悪か?

主観的でもあり極め判断が難しい事項に対し、
国家権力が与えられてしまった、
怖さが表現されています。

日本(人)は、真面目なのであるルールに対して、
必要以上に範囲を広げ適用してしまう訳ですが、

例えば、個人保護法やSOX法などのように、
突然出来た厳しい法律が、混乱を招くケースもあります。

それが極端に進んでしまった世界が、
映画では表現されるのです。

メディア規制が強化される中、
メディア規制に賛同する武装ゲリラが図書館を襲撃し、
館内にいた人々を殺戮、本を焼き払う事件が起きます。

その事件で、一冊の本と石坂浩二さん演ずる、
図書館の副館長が一人生き残ります。

彼は事件の教訓をもとに図書館を自衛する
警備隊を組織するのです。

・・と前置きはこんな感じですが、

これを観て、「なるほど」と、
既に半分位満足した気持になりました。

図書館戦争は、
もしメディア規制法案ができたら、
今頃こんな未来になっていたかも知れない。

そんな、SFというかパラレルワールドの物語です。

あくまで想像小説の世界であり、
仮にこのような規制ができたとして、
日本の中に規制と戦う人達
(物語では「図書隊という武装警備組織」)
が生まれるとは思えません。


さて、映画では、

本屋さんで小説を買おうとする高校性役の
榮倉奈々さんが、

メディア良化委員会の差し押さえの現場に遭遇し、
楽しみにしていた、小説を取り上げられそうに
なったところを、

居合わせた岡田准一さん演じる図書隊の隊員に
助けるところから、ストーリーが始まります。


詳しい経緯は省略しますが、

メディア良化委員会(架空の組織)は、
「(害のある)本を差し押さえる」という
法律を元に活動し、

図書隊(架空の組織)は、
「(図書館は)自由に本を保存する」という
法律を盾に活動します。

今でも悲惨な事件があると、

犯人はこんな本を読んでいたとか、
こんなビデオやサイトをみていた。
・・
と話題になりますが、

映画では、
悲惨な事件が起き、
犯人が図書館で有害指定本を読んでいるわけです。

メディア良化委員会(や警察)は図書館に対し、

「資料として本を提出せよ」と迫り、
「イヤだ」と図書隊は突っぱねます。

そして、本を巡ってドンパチ、
つまり図書館戦争が始まるわけです。

およそ本などは、
全国中に散らばっている訳で、
どこかの図書館が資料として本を差し出した
ぐらいで、どうこうなるわけで無い気がするのですが、

先に書いたように、
物語として極端にエスカレーションさせると、
このようなことになるのだと思います。

同じく映画を観ていると、
図書館戦争の前に、メディア良化委員会が捜査令状の
ようなものを読み上げ、
宣戦布告をし時間を決めてから、
ドンパチを始めるのですが、

ある意味ミリタリーゲームのようでもあり、
ありそうで無さそうで、
でもありそうな、世界観を感じました。

ちなみに映画では、
その場に居合わせた市民たちを対比させるのですが、
市民は「戦争ごっこか」とぼやきます。

確かにそんな感じです。


物語は高校性の榮倉奈々さんを助けた図書隊員を、
王子様として憧れ、自らも図書隊員となります。

そして、王子様である岡田准一さんのチームに
入るわけですが、
なぜか、映画の最後まで岡田准一さんが
王子様と気付きません。

仮にも上司に、あの口の利き方、あの態度は
無いだろうという榮倉奈々さんの演技ですが、

それでも、
しまいに岡田准一さんに引かれていきます。

榮倉奈々さんの演技は、
これまでの映画よりも、榮倉奈々さん色が薄まり、
ある意味残念な気もするのですが、
一方ある意味、成長したのだと思いました。


そしてこの映画の見所のひとつは、
榮倉奈々さんの身長が170センチ(もあり)、
岡田准一さんの身長が165センチであることです。

かねてから、
いくらジャニーズとはいえ、
このイケメンはありえんだろう。
・・と岡田准一さんの事を思っていたのですが、

しかし、身長が低かったとは知りませんでした。

「三高(学歴、年収、身長の3つが高い)」
という結婚恋愛用語が死語になってしまった現代でも、
自分よりも背の低い男性を選ぶ女性は珍しいです。

知り合いのやはり身長170センチの女性は、
自分よりも1センチでも高い男が良いと、
嘆いていましたが、

さすがに女性も170センチとなると厳しいです。

恋愛ドラマにおいて、
男女間の身長逆転現象はめったに
観ることがでいないのですが、

映画の冒頭、榮倉奈々さんが食堂で、
岡田准一さんの悪口を言うシーンなど、
カメラアングル的に、5センチとは思えない程の
ギャップを演出していました。

この榮倉奈々さん、岡田准一さんのコンビは、
雑誌『ダ・ヴィンチ』で企画された
「読者が選ぶ誌上キャスティング」において、
圧倒的な投票数を集めて第1位となったそうですが、

原作でも、女性のほうが身長が高いと云うことで
私もこの二人はピッタリのキャスティングだと
思いました。

なお、榮倉奈々さんの友達役に栗山千明さんが
出ていますが、原作者がイメージしたのが栗山千明さん
だったそうです。

他にも映画化にあたり、
原作に相当こだわって作っているようです。


映画では実際の戦闘シーンがあります。
やたら弾を打ちまくるのですが、その数は5000発
だったそうです。

戦闘シーンは、
まるで映画「二百三高地」の戦いの様子そのもので、
現代戦で、あそこまで兵士が密集し弾を撃ち合うことは
無いと思いました。

戦争とは云っても、
武器は小銃・機関銃が中心で、
砲や爆弾の類が無いためかもしれません。

図書隊のほうは、自衛隊の基地や車両を使うなど、
メチャクチャリアル感がありましたが、

メディア良書委員会側の装備は、
アメリカ市警のような装備でした。

図書隊は自ら攻撃はせず、
図書館を守ることが専門で、
専守防衛」という、良く耳にする単語が出てきます。

最初に隊員が打たれ反撃を開始するのですが、
専守防衛」をここまで分かり易く表現した
映像もなかったのではないかと思います。

それにしても、
図書隊のあの武装を維持する費用は
どこから捻出しているのか不思議ですが、
文科省なのでしょうか?(笑)

映画の最後のシーンでは、
榮倉奈々さんと石坂浩二さんが誘拐に合います。

その時、かつて石坂浩二さんとともに
生き残った一冊の本が焼かれます。

犯人から必死で本を守る榮倉奈々さんに、
「たかが本」と石坂浩二さんが云います。

その前に、図書隊が本を守ると云うことは、
この国の歴史や文化や思想を守るということであり、

本が消えてしまうと云うことは、
この国から歴史や文化や思想が消えてしまうと云うことです。

という石坂浩二さんのセリフがあるのですが、
「たかが本」というセリフとのギャップが印象的です。

それはきっと、歴史や文化や思想よりも、
目の前の一人の命が大切という価値観です。


私も日々本を読んでいるわけですが、
つまりこの映画は、
「本」が影の主役なのだと思いました。


映画「図書館戦争」は、
表現の自由やメディア規制、国家統制、専守防衛など、
現代における様々な問題点を、

パラレルワールドと恋愛ドラマにつつんだ
実に深い映画と思いました。

もちろん、岡田准一さんを観てカッコ良いと
思うのも有りですし、
榮倉奈々さんをみて可愛いと思うのもありです。

そういえば、
亡くなった児玉清さんが写真で出演する演出も
極めて効果的でした。

図書館戦争は、映画中でも登場する、
昭和29年に作られた
図書館の自由に関する宣言」をみて原作者が思いついたそうです。
===

 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
===
※以上Wikiより抜粋

戦前の思想善導機関として機能した図書館の歴史を反省して
つくられたということですが、

現代日本は戦前によく似ているとも言われて
いますが、この歴史は繰り返して欲しくない
と思います。

そんなわけで、東宝が公開後2日間に行った
調査によれば、「観客満足度98.2%」だった
そうです。

観客の多くは以前から「図書館戦争」の
ファンだったと思うのですが、

小説やアニメのファンも納得ということですから、
初めてみる私など、もちろん満足の今日の映画でした。


http://www.toshokan-sensou-movie.com/index.html


追伸)
岡田准一さんは、武道の腕も凄いらしく、
映画でのアクションも迫力がありましたよ。 


★★★ ツィッターやってます! ★★★
   https://twitter.com/h6takahashi


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