ピクサーアニメ「インサイド・ヘッド」は、この夏一番笑いが止まらない映画でした。

今年「脳内ポイズンペリー」という映画が公開されました。
残念ながら私は見逃してしまったのですが、

映画情報などを見ると、

真木よう子さん演じる、恋する主人公の心(頭の中)の
葛藤を描いたストーリのようです。

漫画が原作ということですが、偶然でしょうか。
同じ時期にピクサー/ディズニーが頭の中を描く
アニメを作りました。

・・という訳で本日は、
ピクサー長編アニメーション20周年記念

 「インサイド・ヘッド

をご紹介します。

定期的に最寄りのシネコンの上映情報をチェックし、
次に観る映画の候補を考えるわけですが、
この映画は観ない予定でした。

なんとなく、ディズニーアニメですし、
絵も子供向けっぽく、
説明もイマイチピンと来なかったのです。
子供向けのアニメかな。位の印象ですね。

そういった意味では、この映画の宣伝は、
ディズニーにしてはイマイチです。


しかし、前日の土曜日に、
知人の映画の達人が観た話しを聴き、
素晴らしく面白かったと云うことで、
即、翌日の日曜日に映画を見に行きました。


ところで、ディズニーの映画は
必ず前座の映画あるのでしょうか。

映画が始まると、
火山島(と海底火山)を擬人化した
アニメが始まりました。

えっ、こんな映画なの?と思います。

緑を蓄え、鳥や魚たちと共生する
立派な男の火山は、
連れ合いを探して愛の歌を歌います。

その歌を何年も聴いて、
男の火山に憧れを持ち、合いたいと思った女の
海底火山は、少しずつ成長していきます。

しかし、男の火山は、
何年たっても連れ合いを見つけることが出来ず、
段々元気も無くなり、海に没していくのです。

そうした頃に、
ようやく女の火山が海から顔を出しました。
しかし男の火山に背中を向けているわけです。

映画では、男の火山の目線で、
女の火山の背中を映し出すのです。

火山を擬人化して、
しかも恋人募集中の男に仕立てた様子は、
(若干、絵が不気味ですが、)本当に切なく、
独身の私は、このショート映画だけで泣けてきます。

本当は(おそらく)、努力はあと少しのところで、
実ったり日の目を見なかったりする様子を表した、
成功本的なショートストーリーなのですがね。


そして、本編が始まります。
どんなアニメなのかと思って観ていたら、
ドリカムのテーマ曲に合わせて、
子供の写真が次々と画面に出てきます。

日本の楽曲と写真ということで、
そういえばこの映画には、字幕版も無いですし、
吹き替え版のみの上映で、
完全に日本上映に向けローカライズしたようです。

ドリカムの曲の時間が若干間延びしたように思え、
この映画の唯一イマイチなことろのように感じました。

映画は主人公である、
少女ライリーの頭の中の感情を擬人化、
キャラクター化した感情達が主役です。

喜び、哀しみ、怒り、ビビリ、ムカムカという
5つの感情が少女ライリーの頭の中で意見を
交わしながら、彼女の感情を作っています。

感情達のなかで主役は、
竹内結子さん演じる「ヨロコビ」です。
そして、
大竹しのぶさん演じる「カナシミ」が重要な脇役です。

竹内結子さんの声は直ぐに分かったのですが、
大竹しのぶさんの声が分かりませんでした。

このブログを書く前に予告編も確認したのですが、
あまりにも声が低く、
機械で意図的に音程を下げているようにも
感じられます。

もっとも大竹しのぶさんですから、
地声だとしてもさすがプロ。と驚かないのですが、
それにしてももの凄く合っていて良いです。

そんなわけでライリーの感情はヨロコビが主役です。
つまり明るい少女なのです。
でも時折、ビビリやムカムカ、イカリなどが顔を出し、
両親を悩ませます。

大人になって心理学を勉強するようになると
分かるのですが、ビビリやムカムカなど、
人間を敵や災害から守る為の本能的な感情だったりする訳です。
そんなことも映画を観ながら思い出します。

ミネソタで生まれたライリーは、
父親が新しく会社を作って仕事を始めるため、
サンフランシスコに転校します。

転校という環境の変化に、
感情というキャラクター達が、
どのように対応するか、この映画の見所の一つです。

転校した朝、カナシミがミネソタの記憶を蘇らせると、
ライリーの心には、
楽しいはずのミネソタの記憶が悲しい記憶として蘇り、
そして、自己紹介をしながら涙が出てしまうのでした。

大人になってみると、そんなこともあるよなぁ〜。
という感じです。
大切な事は、同じ記憶でも、
楽しい記憶になったり、悲しい記憶になったりする
ということなのです。


その後、映画のストーリーは、
ヨロコビとカナシミが事故にあい、
ライリーの脳のコントロールルームから居なくなってしまう
事件が発生し、ストーリーが大きく展開していきます。

その間、コントロールルームには、
ビビリとムカムカとイカリの3つの感情だけと成ってしまいます。

彼らネガティブ系の感情が出す答えは、常にイマイチです。
結局ライリーは、母親の財布からカードを盗み家出をし、
一人バスに乗ってミネソタへ帰ろうとするのです。

その様子は、まさに、悪い子というより、
「うつ」状態そのものに見えます。

つまり、この映画の最も重要なところは、
悲しい感情はネガティブだからと押さえつけていると、
人間は「うつ」になってしまうということなのです。

事故にあってコントロールルームを追い出された、
ヨロコビとカナシミは、
記憶の領域に飛ばされてしまいます。

毎日の記憶はボーリングの玉のようになり、
喜びは黄色に、哀しみは青色にと、
感情に応じた色が付き、
その後、記憶の領域の棚に整理され、
積み重なっていきます。

記憶の領域の棚に、整理された沢山のボールの山は、
つまり、直ぐに思い出せる顕在記憶の領域です。

そこには、定期的に不要なボールを捨てる作業を
している人達が居ます。
捨てられたボールは、無くなるのではなく、
光の当たらない深い谷底の潜在記憶の領域に
落ちて行き、二度と蘇りません。

ここで、忘れると云うことは、どうゆうことか
分かります。
無くなるのではなく、コントロール出来ない
領域に、記憶が移動磨ると云うことなのです。


記憶の領域から、コントロールルームへ戻ろうとする
ヨロコビとカナシミは、いつしか仲良くなるのですが、
カナシミを捨てヨロコビだけが戻ろうとするときに、
道(空気のパイプのような感じ)が壊れ、
今度はヨロコビは潜在記憶の領域に落ちて行くのでした。

<中略>
しかし最後は、
ヨロコビとカナシミは二人でどうにか、
ライリーのコントロールルームに戻っていくのです。

映画を見終わってみると、
子供向きとしか思えないキャラクターを用いて、
心理学の感情や記憶の概念、潜在領域の仕組みまで
教えてしまうと云うなんとも、レベルの高すぎる
映画でした。

しかも細かな笑いがふんだんに散りばめられてあり、
私は声を出すのをガマンし、常に背中が、震えて
いるような状態でした。

ITや情報化の次に流行るのは、心理学などとも
云われていますが、このような映画を観ると、
アメリカという国は凄いと驚かざるを得ません。


他にもこの映画出素晴らしいと思ったのは、
絵がとても綺麗なことです。

とくに主役のヨロコビは他の感情のキャラクターに
比較して、常に光り輝いているタッチの絵となって
いて綺麗です。そして、元気の良い、
竹内結子さんの声とマッチしています。

カナシミは、ハリセンボンの近藤春菜さんに
似ているのですが、先にも書きましたが、
大竹しのぶさんが素晴らしい演技をしています。

他にも、ライリーの空想上のキャラクター
ビンボンを演じる佐藤二朗さんなど
素晴らしいと感じました。

また、Wiki情報でチェックしているのですが、
この映画は思った以上に沢山の人が出演しています。

日本語にローカライズにあたっても、
かなり気合いをいれたことが良く分かります。


 楽しんで学べる教育よりも、
 気がついたら学んでいるような「娯楽」を与えたい。

ウォルト・ディズニーが言ったそうですが、

この映画はまさに、楽しんで観ていたら
いつのまにか心理学を学んでいた。
そんな映画ではないかと思いました。


冒頭のショートストーリーも含め凄い映画です。

まだ観ていない方は、
子供向けアニメと考えずに是非観て頂きたい、
今日の一本です。

ディズニー ※上記出展はディズニーHPより
インサイド・ヘッド|映画/ブルーレイ・デジタル配信|ディズニー|Disney.jp |

ピクサー
http://www.pixar.com/features_films/Inside-Out


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