伊集院静「大人の流儀」を読みました。

私にとって伊集院静氏は、
日本中の男性から、夏目雅子さんを奪った憎い男です。

すなわち、恋敵(こいがたき)です。(^_^;)

いかんせん我々の年代は、
西遊記堺正章さんの方)を見て育っているものですから、
三蔵法師様を演じた、夏目雅子さんへの刷り込み具合は
半端なものではありません。

その夏目雅子さんの心を射止めた男(伊集院氏)はどんな人物なのか、
(自分が大人に成り、彼女が亡くなった後ですが。)気になりました。
そして伊集院氏の書籍を読んだり、経歴を調べたりしました。

意外なところでは伊集院氏は作詞家としても活動しており、
我々の年代では、同じく有名な、
「ギンギラギンにさりげなく(近藤真彦さん)」
の作詞を手がけていました。

しかし、実態としては良くわからず、
(たまに伊集院氏の書いた、エッセイなどは読んでいたもの、)
それから何年も立ちました。


再び、伊集院氏を注目したのは、
今年の震災の後の週刊現代の記事※です。

週刊現代2011年4月2日号
 仙台在住 伊集院静「被災地・宮城から見たこの国」
 〜テレビは真実を映すわけではない

当時、私も震災で気持ちが尖っていたこともあり、
この文章は心(というか日本中)にしみ込みました。

震災の様子や、その後のマスコミ報道を見て感じた事など、

こんな事書いていいのか!
という位、「歯に衣着せぬ」文章で綴られていました。

コレを読んで、
文字で表現するとは、このような事なんだ。

と感じました。

そして同時に、自分もこのような文章が書けるように
なりたい。・・と素直に感じました。
そして、夏目雅子さんを奪った、伊集院氏を素直に
素晴らしい人だ。と感じたわけです。


タイトル「大人の流儀」から、伊集院氏の考える、
大人の概念とか、もしくはダンディズムといった書き物を
期待したのですが、内容は、直球的ではなく、
日々伊集院氏が感じた事を綴ったエッセイです。

※本書は、前出の週刊現代の2009〜2011年のエッセイから
 春夏秋冬と4つの季節にまとめた物です。

第一刷が3/18なので、震災の直後位の発表だと思いますが、
週刊現代の効果か、瞬く間にベストセラーになったように
記憶しています。


内容は、いつも通り時に辛口で、
ビジネスや一般常識を問う真面目な話題がある一方で、
ギャンブルと酒飲みの話もあり、しかも、そのレベルが半端無く、
これがあの夏目雅子さんの元旦那さんか。
・・と驚くばかりです。
(伊集院氏の事が最も良く分かった一冊だと思います。)
そして、女性は不良な男が大好きなのだと思いました。


内容は面白かったと思うのですが、
本書で最も価値が有ると感じたのは、後書きに相当するところに、
夏目雅子さんとの話が書いてある事です。
これまでずっと黙っていたということですが、
今回初めて出会いから、亡くなるまでのいきさつが詳しく書かれています。

そうだったんだ。・・と、時にムッとし、時に共感したり、
悲しい気持ちに成りながら本書を読み終えました。

夏目雅子さんが有名に成って、孫悟空に出ている頃には、
既に伊集院氏と付き合っていたようです。あぁ〜ショック。
夢が崩れるというか・・そういった事情も有り、周りへの配慮も有り、
今まで黙っていたのでしょうが。)


伊集院さんの本は沢山出ているのですが、
夏目雅子さんを語った本はこれ一つということですので、
とても貴重な資料でもあります。

夏目雅子さんファンは必読の一冊です。
(↑本旨とはズレますが、伊集院氏はこの点十分に織込んでいる
と思いますので、このように〆させて頂きました。)