藤原和博著「坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと」を読みました。

司馬遼太郎著の歴史小説坂の上の雲」は、
多くの日本人に影響を与えています。

雑誌のお勧め本コーナーでも頻繁に登場し、
経営者や会社幹部層が読む本No.1と紹介される
記事も頻繁に見かけます。

小説が発行されたのは昭和43年から47年で、
ちょうど私が生まれた頃です。

この頃の日本は、
東京オリンピックを終え、戦後の復興にめどが付き、
後はひたすら経済発展するのみ。
といった時代です。

ここからの20年が日本のピークだった。
そんな事を、後の歴史に記されるのではないでしょうか。


坂の上の雲」の描かれる時代もよく似た背景です。

今から約100年前、
東洋の小さな島国だった日本が、
幕末から一気に列強の一国に上り詰め、
日露戦争の勝利や、その後の第一次大戦の好景気が
ピークとなります。
その後の世界恐慌など経て景気が悪くなり、
そして再び戦争へと突中していきます。


さて、
本日ご紹介するのは「坂の上の雲」ではなくて、
「坂の上の坂」です。

人生を山の形に例えると、
生まれてからどんどん坂を登り、
40歳〜50歳代が山の頂上に当たります。
そして、そこから先は下り坂となる。

このような感覚は、多くの方々に理解頂けると思います。


でも「坂の上の雲」の時代から遙かに寿命が
伸びた現代人にとって、
下り坂の期間が長すぎはしないだろうか?

筆者である藤原和博氏の問いかけです。
※以下藤原さんと略します。

坂の上の雲」に登場する時代は50歳前後で
亡くなるのが普通でした。
例えば、夏目漱石など長生きした感がありますが、
49歳という若さで亡くなっていますし、
坂の上の雲」の主人公3人のうち、
50歳を超えて長生きしたのは一人だけです。


本書の「坂の上の坂」というタイトルからは、
更に苦労を重ねるのか。とか、何かのパロディー?
とイメージをするかもしれませんが、

長い人生をハッピーエンドで終わるためには、
上り坂(つまり山)を連ね、人生の後半に山脈が
出来るような生き方を目指そう。といった提案です。

特に男性は、会社一筋ではダメで、
ある年齢を迎えたら、会社以外の様々な
コミュニティーに参加するなど、
活動の幅を広げた方が良いといいます。

趣味のサークルや、地域活動、
なにかしらのボランティアなど世の中には沢山の
コミュニティーや団体があります。

仕事を退職してから始める事は、
もちろん悪く有りません。

しかし、例えば一足早く、
50歳から始めた人に比べると知識や技術面で10年もの
後れを取ります。
同じ年齢でも初心者とベテラン程の差が付いてしまい、
そのため、引け目を感じ続かないことも多いそうです。


40代は4つ、50代は5つ位の活動を平行にする位で
ちょうど良いと藤原さんは言います。

もちろんこれは、
リクルートやその後の和田中学などで、
大きな成果を出した、活動的な藤原さんならではの
発言であり、
一般の我々が、会社以外に3つもの活動をするには、
大変なことで、少し差し引いて考えても良いと思います。


本書では、これまでの藤原さんの経験から、
様々なコミュニティーの参加の仕方など、
実例が紹介されています。

例えば、地域の小中学校などでは、
地域住民が学校を支える、ボランティア組織があり、
子供がその学校に通っていなくても、
その学校のOB等で無くても参加しやすいのだそうです。


本書は、副題の
「55歳までにやっておきたい55のこと」ということで、
他にも、勤め先との関係や、田舎暮らし、
インターネットの活用方法、夫婦の関係や老後や死を迎える話など
55個のテーマが紹介されています。

その中には、和田中学校長を務めたときの苦労話なども
あります。

マスコミでも良く取り上げられましたが、
良い報道ばかりではなったように記憶しています。

本書では、ご本人から語られる話もあり、
そうだったのか。と感じる点も多数有ります。

また、昨年の震災の歳に東京から食べ物を届け、
人数分無いから、といって全部断った避難所が
有った話など、驚くような話も紹介されています。

本書は、一つ一つ考えながら読んでしまい、
読み終えるのに、少し時間がかかってしまいます。

特に40代から上の世代の方、
定年後の暮らしを考えている方に、
お勧め出来る今日の1冊です。




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