大前研一著「大前家の子育て」は、成長した二人の息子さんのインタビューも読める貴重な資料です。

本日は大前研一さん著の

「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て (PHP文庫)

をご紹介します。

本書のタイトルには覚えがありまして、
以前にも購入したか、もしくは、
本屋さんで立ち読みしたかの
どちらかと思いました。

有名な本に間違いは無さそうです。
既読本だったらどうしよう。
・・などと少し迷いながら
ネットで、ポチッと購入しました。


本書の内容はタイトル通りで、
大前研一さんの子育論や、
家族(子供さん)のエピソードが
紹介されています。

大前さんは奥様とアメリカで知り合いました。
(奥様はアメリカの方です。)
そして日本では、誰も知らない時代に、
ラマーズ法による出産を行いました。

食卓ではテレビを見ないけど、
ゲームは自由にやらせている話や、

息子さんが学校に入ったり、
また止めたりする際の大前さんの葛藤など、

父親の視点で様々な子育て論が
展開されています。


加えて重要なのは、
これからどういった人材を育てるべきか、
社会や会社はどうなるのか。

なぜ、女性は就職が厳しいのか。
・・・
そんな話題もあり、
大前研一本ならではと思います。

大前研一さんの本を読んだことがある方であれば、
どこかで読んだ事のあるような話も多く、
当たり前のように英語の重要性を説いています。(笑)


加えて、今回の単行本化にあたり、
成長した二人の息子さんのインタビュー記事が
加えられています。

この記事は、大前研一さんの書いた本文を
検証する上でとても意味があると感じます。


長男の大前創希さんは、
とにかく父は怖い人だったと述べています。

中学の夏休み前に、たまたま大前研一さんが参加した
三者面談で(いつもは母親が参加していた)、
夏休み中にプールや課外授業があるのはおかしい。

そんなことで、先生と口論になり、
こんな学校にいては大変なことになる。
・・と二学期からは別の中学校に転校させられたそうです。

この理由が凄いのですが、それは、
大前家では、夏休みはカナダなど海外に家族旅行に
行くことになっていて、学校で行事があると、
旅行ができなかったからと言います。

旅行のスケジュールは全て子供達に作らせた。
と本書で大前研一さんは述べていますが、

息子さんによると、
大前家で”旅行に行く”ことは、
絶対的なルールだったそうでで、
中学生ぐらいになると、休みの予定は色々あるのに。
というと、

 「オレは世界中で一番忙しいのだから、
 おまえ達があわせろ」

の一言で終わったそうです。

当時は相当ムッとしたそうです。
(わかりますその気持。笑)


一方、次男の広樹さんは兄ほど叱られなかったそうです。

海外旅行に関しては、バイクやジェットスキーなど、
友達も誰もやったことのない事をさせてもらったのだけど、
海外旅行というだけで、友達からいじめられるので
むしろイヤな事だった。と語っています。

テレビが無いことは、特殊な環境だったのですが、
一人前の議論が出来るようになったのは、
大前家の食卓でのディスカッションによって育てられたから。
と語っています。

大前家の子育ては、
世間と比べるとかなり特殊に違い有りません。

しかし、子育て本で、親が一方的に語るのではなく、
成長した子供のコメントが記載されている本も、
珍しいのでは無いかと思います。
この点に本書の価値を感じます。


「家庭を作ることは一つの事業である」
と本文中で大前研一さんが述べており、
奥様や息子さんをとても大事にしている様子が伝わって来ます。

また、我々一般人には分かり難い、
国際結婚の難しさも本書では述べられています。

大前研一さんは、
レストランのウエイトレスさんなど、
見ず知らずの人出も、ダメなところがある
と怒ったりする方のようで、
息子さんとしては、
とてもイヤだったと回想していますが、

大人になって分かったことは、
ダメなところがあれば、知り合いかどうかは関係なく,
正していくのが社会的責任がある大人のすることで、

加えて、大前研一さんが今でも日本から逃げ出さず、
辛口なコメントを続けるのは、大前研一さんが考える、
責任※に準じているからと語っています。

※家族、社会、会社、自分に対する責任を
 4つの責任と考え、大前家では息子さんに
 教えた話が紹介されています。


息子さんも大人になった今では、
世間の父親と違う、
大前研一の流儀を理解しています。


とても良い関係のように感じました。

本書は、今から15年ほど前に書かれたものですが、
内容の古さは感じません。

世の中は大前研一さんの言葉の通り
変化している面もあれば、
まだ、そのレベルに至っていない面もあります。

文体は他の書籍同様の自信に満ちた大前調でが、
大人の私が読んで感じられるのは、

その自信に満ちた行間には、
様々な子育ての苦労があっただろうという点です。

大前研一さんの数々の著書の中でも、
代表的な一冊になるのではないかと思う、
今日の一冊でした。



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