宇野隆史著「トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる」この本はスゴいと思います。

私の学生の頃の話しです。
心の底からトマトが嫌いな友人(男)がおりました。

トマトが嫌いな人は他にもいたのですが、
そいつのトマト嫌いは尋常ではなく、
好き嫌いとか、食べることができない
というレベルを遙かに超え、

視界に入ることすらイヤ。
そんな感じでした。

そんな彼は、
学生にして沢山の無精ヒゲを蓄え、
冬場はTシャツの上に革ジャンを着るなど、
見た目はワイルド感たっぷりの男だったため、

外見と、トマトを恐れる様子のギャップがなんとも面白く、
時折、居酒屋で仲間にいじめられておりました。


・・とい訳で本日は、宇野隆史さん著

 トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる
 ~居酒屋の神様が教える繁盛店の作り方~

をご紹介します。

本書は居酒屋をはじめとする、
儲かる飲食店のやりかた(経営方法)を
記した一冊です。


著者の宇野隆史さんは、
居酒屋経営の神様と云われるような方で、

都心に20店舗とバンクーバーに1店舗の
居酒屋を経営しており、
そのスタッフの中からは、
100名以上の居酒屋経営者を送り出しています。


居酒屋、小料理屋、喫茶店蕎麦屋・・など
飲食店をやりたいと思う人は、本当に多いと思います。

私もふと、そんな事を思うことがあり、

いかにも簡単に飲食店ができそうな、
本書のタイトルに引かれ購入しました。

本書を読んで思うのは、
飲食店経営は、とても工夫のしがいのある
ビジネスということです。

本書からは、
その店が儲かるかどうかは、

会社や世の中のしがらみ、
景気や世の中の流行には関係なくて、

経営者や店長のやり方次第である。
という事を感じます。


特に店舗経営において一番大切なことは、
一度来て頂いたお客さんを喜ばすことです。

つまり新規のお客さんよりも、
リピーター増やすことを考える訳です。

一度来て頂いたお客様をどのようにもてなすか、
良い気分で帰って頂くかが大切。
そんなことが繰り返し説かれています。

他にも、
値引きのやり方や、
他店から学ぶ姿勢について多くのページを割いており、
これらは、飲食店に限らず営業全般に云える話しだと
思います。

本書を読みながら、
自分は普段の仕事の中でどれ位出来ているのか?
飲食業とは関係のない業種ですが、
考えさせられました。


八百屋さんで100円のトマトを仕入れ、
冷やして切って300円で売る。

冷しトマトは居酒屋の人気メニューなのだから
これが売れれば儲からないはずは無い。

本書では度々このフレーズが出てきます。

私もトマト好きなので、
ちょっしゅう頼んでいるメニューですが、笑)

300円(売価)−100円(仕入れ)=200円

という簡単な計算式で示される、
200円がサービス代金であり、
つまり、お店の価値という訳です。

店員さんがぶっきらぼうに、
冷やしトマトをテーブルに出せば、
スーパーの100円と比べられて高いと感じ、
リピートは無くなります。

「おいしいトマトですよ。」

のような一言があるだけで、
トマトがおいしく感じられ、
300円でも高いと思われないのです。

つまり、
お客様の心の動かすことが大事で、
これが商売の本質なのです。


このような簡単な工夫を死ぬほど積み重ねて
人気居酒屋ができていくことを、
本書では繰り返ししつこく語られます。

飲食店経営が上手く行かないというのは
この工夫の積み重ねが出来ていないことであり、

やる気のある人にとっては、
飲食店経営というのは、
かなり魅力的な商売という感じもします。


とは言っても、
やはり自分で飲食店を経営することは、
簡単なことではありません。

本書では一番最後に、
宇野隆史さんの元で店長として店舗経営を学び、
現在では都内に数店舗を構える経営者となった
岩澤博さんが、最初の店を開いた頃の苦しい
時代の話が掲載されています。

宇野隆史さんの元で店長を5年も務めた方ですので、
大変な実力がが合った方と思うのですが、

そんな方でさえ、最初はお客さんが来なくて、
大変だった様子や、
時折宇野隆史さんに励まされた様子が記されており、
感動します。

宇野隆史さんの本文だけ読むと、
やる気さえあれば飲食店は簡単にできそうな
印象も持ちますが、

この岩澤博さんの文章が最後を締めることで、
本書はいっそう価値のある本に仕上がっていると
感じました。

飲食店に興味が有る方にとっては、
本当に良い本と感じまたし、

営業に関するビジネス書として読むこともできます。

これは凄いと感じた今日の一冊です。


※本書は日経レストラン2007年5月号〜2010年10月号
 に連載された、
 「宇野隆史が教える小さな繁盛店の作り方」
 を加筆修正したものです。

 
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