アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス 著「Good Luck」を読みました。

「今日は運が良かったとか、悪かったとか」
このような会話は日々繰り返されます。

なんとなく運が悪そう。
と感じる人にも合いますし、

今日は訳も分からず調子が良い(運が良い)。とか、
今日はイマイチだった(運が悪い)。などと、
ツキのようなものも確かに感じます。

こうした運の善し悪しに関して
大々的に調べた人がおりまして、
その結果は、

「運とは確率だ」

という味気ない答えなのですが、


↑この本に書かれています。
 ※そういえば、この本もまだ紹介していませんね。

本日ご紹介する本は、
運(幸運)とは引き寄せる物である。
自ら作る物である。
そんな視点でその方法を物語を用いて
語っています。


・・・という訳で本日は、
アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス 著 田内志文 訳

 「Good Luck」

をご紹介します。

本書の発行は2004年ですから、
今から約10年前です。結構昔の本ですね。

ある本で本書が紹介されており、
即アマゾンに注文を入れました。

帯には、
「世界50カ国で出版決定、ついに日本上陸!!」
とありますので、かなりのベストセラー本です。

いわゆる、物語で成功を語る系の成功本で、
1ページに少なめの文字で100ページ程度の本です。

内容は、タイトル「Good Luck」のとおり、
人生の”運”とは何かと言うことに対して、
二人の登場人物を比較しながら物語が進んで行きます。

”運”と限定せず、
良い人生を送るために、
気を付けたほうが良いことがまとめられている。
と思っても良いかと思います。


ストーリを簡単に紹介しますと、
小さい頃分かれ離れになった友人が、
何十年ぶりにセントラルパーク公園で再開します。

一人は、貧乏から苦労して会社の経営者となり成功し、
もうひとりは、祖父の代から続く大きな会社を引き継ぐも、
経営が悪化し、倒産してしまいました。

俺には"運"が無かった。
君は運があって羨ましい。
という会話から物語が始まります。

貧乏から経営者と成った友人は、
祖父から遺産はもらえませんでしたが、
成功のための智恵、幸運を掴む方法を教えてもらった。
と言い、祖父から聞いたという物語を語るのです。

それは、
ある国に住んでいた騎士が
成功するまでのストーリです。

森に成功を約束する魔法のクローバーが芽生える。
という話しが国中の騎士に知らされます。

大きな森の中から、
クローバーの芽を探すという、
あまりにも途方もない話しに、
話しを聞いた殆どの騎士が諦めるのですが、
二人の騎士がチャレンジします。

その一人黒いマントの騎士は、
最初に森に着き、
森の中の神々から沢山の情報を聞くも、
最後には魔法のクローバーお城に芽生える。
お前は騙されたのだ。という悪魔に騙されて失敗し、

もう一人の白いマントの騎士は、
同じように森の神々から、
黒いマントの騎士と同じような情報を聞くも、
森の中の様々な神や精霊たちに助けられ、
魔法のクローバーお城に芽生える。
という悪魔から騙されることもなく、
森の中で魔法のクローバーを見つけます。

即ちこのストーリーが言いたいことは、

 「森に魔法のクローバーが生える」。

という誰もが同じ情報を聞いたにもかかわらず、
一人だけが成功して、残りの人達が失敗する。
この違いはどこにあるのか。
ということを短い物語の中で説いています。

つまり、一人だけが成功するという幸運は、
偶然の産物ではなく、
その人の心がけ、行動、考え方・・の違いで
生れるものであることを示すのです。

最初に、
困難を知りチャレンジする人が殆どいなくなり、

次に残った二人の騎士も、
この森には、魔法のクローバーは生えない。
という森の神様から同じ情報を聞いたにも関わらず、

一人は、悪い情報を得た。
と落胆するのですが、
もう一人は、何故生えないか?
という理由を森の神様に聞き出し、
その対策を打つことができました。

物語の中では、
同じ森の神様達に、同じような質問をして、
全く同じような答えが帰って来たにもかかわらず、
態度や考え方で、まったく違う結果になって
しまうのです。

特に仕事を行う上での成功と失敗の違いが
この短い本に凝縮されているという訳です。


失敗した黒いマントの騎士は、
前向きで情熱や力もあり、
決して諦めやすい性格ではありません。
しかし、勢いのある態度が災いし、
若干森の神様達からの印象が悪いのです。

読んでいて、
この時点で失敗なのですが、
本文では、性格の悪さという、
曖昧で主観的な面で失敗したようには
多くは書かれていません。

黒いマントの騎士の一番の問題は、
芽が生えないという、
悪い情報を頭に刷りこみ、
芽が生えないという、理屈を頭の中で
作り上げてしまったのです。
このため、成功をイメージする事が出来ず、
自身を失ったところで悪魔に騙されます。

一方、成功した白いマントの騎士は、
神様からの情報を一つ多く引き出し、
今日できることを明日伸ばさず
念には念を入れて、
ひたすら準備を重ねていきます。
その結果、日々成功のイメージがふくらみ、
悪魔に騙されることもありません。

そして、一番大切なのは、
芽が生える場所を、運に頼って探すのでは無く、
自ら芽が生えるように物事を進めていく
というアプローチの違いです。

この本の上手いところは、
人間得てして失敗を取り戻そうとするときに、
弱みにつけ込まれ、騙されたり、
更に大きな失敗を重ねるそうですが、

そういったあたりも、
本書は上手く書かれています。


本書の後書きに、本書は8時間で書き終えてが、
その構想には3年掛かったとあります。
あの人は運が良い。というとき、
人は8時間に目を取られ、
準備期間3年は見えないのです。

著者が一番言いたかった事は、
即ち運とは準備を重ねて自らつかみ取るもの
であるという事だと思います。


ちなみに、私個人的に印象深かったのは、
本の冒頭にある、成功者がどのようにして
事業を立ち上げたかのいきさつです。

ホテルのベルボーイをしていて、
沢山のカバンを見て、
人気のあるカバンが分かった。
ということなのです。
以来事業が成功してからは、
カバンの流行を探る旅をするのが彼の仕事です。
そしてカバンの製造・販売は他の人に任せて
います。

こういった物語を読んでいていも、
「旅行が仕事」とは羨ましい。
と思ってしまうのがまだまだ浅いですね。


簡単な本であり深く。
人生の何かが凝縮されています
是非子供さんがいる方は、
本書を買って親子で読んで頂きたいです。

成功本マニアの方には、
ありきたりで全く物足りないかも
知れませんが、ベストセラーだけ合って、
確かに良書だと思った今日の一冊です。

こういった本を学校の読書感想文の教材
にすれば良いのでは無いかと思いますね。


Good Luck

Good Luck


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