猪瀬直樹著「決断する力」政治のプロではない猪瀬さんが、震災でどれだけ有効に働いたかが分かる一冊です。

年末に部屋を掃除したら、
2年ほど前にアマゾンで注文し、
・・・そのまま箱に入っていた本達が出てきました。(汗)

今日はその第七弾として、猪瀬直樹さん著

 「決断する力」

をご紹介します。

猪瀬直樹さんは、もともと著名な作家ですが、
一般に名前が知られるようになったのは、
小泉政権での道路公団民営化の成果をあげて
からと思います。

私もその頃から彼をウオッチするように
なりまして、
Twitterを活用し情報発信していく様子を
リアルタイムで読んだりしました。

よく、ランニングの話しが書かれており、
忙しい公務の隙間を縫って走る様子に感化され、
私も夜中にランニングしたものです。

東京都副知事となり、
石原慎太郎さんとタッグを組み、
石原慎太郎さんの後継者として東京都知事選に当選、
オリンピック招致を成功させた約3ヶ月後に、
選挙資金問題が発覚し都知事を辞任しました。

それから約1年経ちインタビュー記事が雑誌SPA
に掲載されています。
※参考URLです。
都知事辞任から1年。猪瀬直樹は今、何を思う――「結局、僕は作家だったんだよ」 | 日刊SPA!

そのタイトルが、
「結局、僕は作家だったんだよ」

ということで、
少なからず応援していた私的には、
そんなこと言って欲しくない。
という気持ちに成りました。

石原慎太郎さんにしてもそうですが、
作家だから出来る事。
政治のプロ、行政のプロには出来ないことが
沢山あると思うのです。
(といいつつ私は横浜市民ですが。笑)


・・・という訳で「決断する力」の内容です。

出版されたのが、2012年4月と云うことで、
東京都の副都知事として経験した、
東日本大震災の内容を色濃く書かれています。
 
今度新しく本になったようですが

この気仙沼中央公民館に取り残された
400名を越える人達が、

「火の ダメかも がんばる」
と打たれたメールがイギリス経由で
Twitterで拡散、
当時の猪瀬副知事の目にとまり、
東京消防庁のヘリが救出に向かった様子が
本書にも書かれています。

地元の消防も被災しているという状況を鑑み、
前例は有りませんでしたが、
東京消防庁のヘリに出動要請をし、
夜間飛行は出来ないということで夜明けを待って出動し、
避難していた全員をたすけることが出来ました。

特に東日本大震災では前例の無いことだらけで、
都の実行リーダとして、様々な事に
GOサインを出すということは、
困難な判断(決断)を迫られたのだと思います。

もしも彼の立場が、プロの副知事だったら、
プロの役人として、
(たとえ震災でも)思いつかない、
了解できないことばかりだったに違い有りません。

そうして考えると、
当時の石原都知事と猪瀬副知事のコンビは、
この難局に、実にうまく対応出来たように思えます。


本書のタイトル「決断する力」というのは、
このような沢山の前例の無い決断を副知事として
行ってきたことを総括した言葉です。

平時でも、地下鉄の中に携帯電話のアンテナ網を
作るためにソフトバンクの孫さんと連携したことや、
水道を事業として海外に輸出しようとする試みなど、
プロの役人ではない新鮮な感覚で、
多くの成果を上げてきたということが分かります。

財政破綻した夕張市に職員を送り込んだのも
その成果の一つですが、
前例の無い、困難を乗り越えたこの取り組みは、
送り込んだ若い職員が市長になった(鈴木直道氏)
だけではなく、
その後、震災における都職員派遣の前例となりました。

本書は今読んでも、なるほど。
と思うような内容が多々あり、

特に東京都民の方、東京都や23区などの職員の方には
全員知って欲しいような内容も多々ある本と思いました。

しかも、書いているのがプロの作家さんということで、
文章が上手で、内容も面白く、
ちょっと古いですが、かなりお勧めできます。

「部下も事業部も持たない副社長」
という言葉が本文中にありますが、
副知事になった当時は、机と椅子と部屋しか
無かったそうです。

そこから様々なプロジェクトを立ち上げて、
組織の壁の間をつなぐような仕事を数々
こなしてきたそうです。

SPAの記事によると、
もう政治家はこりごり。とありますが、
そういわず、もう一度、机と椅子と部屋ひとつで、
再起して欲しいと思った、今日の一冊です。


決断する力 (PHPビジネス新書)

決断する力 (PHPビジネス新書)


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(2015/3/6)