ブライアン・ワンシンク著/ 中井 京子訳「そのひとクチがブタのもと」本書は凄いにつきます。

学生の頃は、貧乏生活を送っていました。

次のバイトの給料日まで、あといくら残っていて、
今日は財布にいくらあるから、何を食べよう。

・・・毎日その日暮らしな感じです。

私に限らず、
地方出身の一人暮らし男子学生は、
多かれ少なかれ、
そんな感じだったように記憶していますが、

同じ一人暮らしの学生でも、
得てして女子は、もともと食が細いうえ、
自炊をするなどをして、

食費は貧乏な私よりも更に食費が少なく、
それでいて、悲壮感も感じられず、
驚いたり羨ましかったりしました。

そんなわけで、
学生時代はバイトと貧相な食生活のため、
かなりスリムな体型でした。

その後就職をして、
とりあえず食事の心配は無くなりました。

ただ、
ストレスが溜まる毎日で、

楽しみが食事だけ。

・・みたいな生活になってしまいました。
そうすると、
体型はみるみる悪化し、
学生時代の面影もありません。

30歳の半ばになり、

これはイカン。

・・・と運動をはじめてはみたものの、
膝を壊したりして長くは続かず、
一時的に下がった体重も元も戻りました。

そんな中、
知り合い数名がダイエットに
成功した話をききました。

ひとりは、食事の内容に気を配り、
毎日一駅だけ歩く生活をした親戚。

ひとりは、ご飯などの炭水化物を
一切取らないダイエットで痩せた趣味友達。

もうひとりは、やはり食事の改善で
2年で20キロ痩せたという職場の同僚。

です。

3人共に共通するのは、男性(おじさん)で、
どの人もダイエットの頑張り感や悲壮感が
無く、普段は(一見)普通に食事をし、
お酒を飲むような、暮らしをしているところです。

・・という訳で本日は、
彼ら3人がダイエットに成功した、
一番の秘密が解説されている本を紹介します。

ブライアン・ワンシンク著/ 中井 京子訳

「そのひとクチがブタのもと」

です。

私が終末に参加する勉強会の先生が、
ジャケ買い」ならぬ、
「タイトル買い」をしてしまったということで、
先生が読むなら私も。ということで即購入しました。

メチャクチャ軽いタイトルなので、
私なら普通は買わない本だったと思います。
(先生に感謝です。)

購入する際も、
簡単に読み終える内容に違いないと思ったのですが、
一般的な訳本にあるボリューム感で、
海外の学者が書いた、真面目な本でした。

読むには、みっちりと時間を要しました。

アマゾンで調べる限り残念ながら本書は、
廃盤になってしまったようで古本でしか
手に入りません。

↓アマゾンのリストです。
リンクに表示されるテキスト

もっと違うタイトルで、
もっと内容が簡単であれば、

かなり売れる内容では無かったかと感じます。

原題は「Mindless Eating」で、
無意識に(不注意に)食べてしまうことと
訳すことができます。

著者は後書きでタイトルの、
「そのひとクチがブタのもと」
は本書の内容にぴったりと書かれています。

確かに、この点には賛同です。

こういった、上手い訳をする訳者ですから、
本書の役はすこぶる読みやすく、
訳本であることを意識せずに読み進めることが
できました。


本書で心に残った点を、簡単に要約すると、

私たちの胃袋は次の3つの状態しか分からない。(p55)

 1.おなかがペコペコ(空腹)
 2.おなかは一杯だけどもっと食べられる。
 3.おなかがパンパン

2と3の間にはかなりの幅があり、
3に至る前にどこで食事を止めるかが、
その人の体型を左右します。

調査の結果、
多くの人は目で見て分量を決めるわけです。

小さなお皿が1人前であれば、そこで止め、
大きなお皿が1人前であれば、そこで止めます。

けっして、胃袋とは相談していないのです。

ある実験で、
被験者が気づかないように、
スープを補充できるお皿を用意して、
普通のお皿を用意した場合に比べ
どれだけ多くの量を飲むのか調べました。

そすると、人によっては2〜3倍多く飲んしまい、
驚いたことに、食後のアンケートでは、
お腹は満足だが、飲んだ量は分からず、
実際よりもかなり少なめであったといいます。

この実験から得られることは、
ダイエットを成功するためには、
胃袋やお腹の満腹具合は全くアテにならない
ということです。

日本には「腹八分」という良い言葉がある。
と本書でも書かれていますが、

お皿を小さくするなど、どうにかして、
一人前の量を少しだけ減らすことが、
ダイエットには効果がある。といいます。

そのほかに、
おいしい、まずいといった味は。
食器やパッケージ、値段などに影響される事が多く、
同じ食材を用いた味覚実験でも、
食後にアンケートを採ると、
お皿の違いで味が大きく左右されることが
示されています。

余談として、
著者が若かりし貧乏学生のころ、
デートで誘った女性のためにワインを購入
するのですが、
安いワインしか買えず、店員さんに事情を話し、
高い値札をあえてつけてもらいました。

最初にワインを口にした女性は、
一瞬渋い顔をしたそうですが、
値札をみて、おいしいと言った話が紹介
されています。

欧米人なので、味覚が若干アバウトな感じも
しますが(アメリカに行ってパンなど買うと
甘さと大きさにびっくりしますね。。)
本書は感覚的な内容では無く、

心理学者としての著者自身が研究を重ねた
成果が記されてます。

例えば、職場で机の上にお菓子があるか、
2メートルぐらいに棚にお菓子があるか、
お菓子のパッケージが透明かどうか、

ちょっとの違いで「その一口」を食べるか
どうかの行動が変わって来ると言います。

ダイエットのためには、ちょっとした
面倒を取り入れることが大事で、

お菓子を遠くに置くとか、
お昼ご飯をしっかり、
時間を取って、同僚と食べに行く。
そんな事が大切なのです。


本書で示される、最も大切なことは、
一日に摂取するカロリーを、
(わずか)100キロカロリー減らすことです。
これで年間5キロ程度は体重が軽くなります。

ジュースが大好きな女性が
本人もあまり意識しないまま、
いつの間にか痩せていた例を挙げます。

彼女は1日1本のコーラを止めただけなのでした。

100キロカロリーといえば、
コンビニのおにぎりの約半分です。

この分量を、ストレス無く、気づかず
減らすことがダイエットの成功への秘訣です。


本文の最後に示されるのは、
今日は朝食が食べられなかった。
今日は仕事が忙しかった。

・・だから、ちょっといいか。
と甘いお菓子を食べる。

人間は自己規制ができるようでなかななか出来ない
生き物である。それに打ち勝つには
毎日何を食べたのか記録すると良い。

というレコーディングダイエットの話が
書かれています。
※年代的に、おそらくこちらがオリジナルと思います。


本書では、嗅覚や視覚が食欲を大きく左右する
という話があります。

この本を読むと、
アメリカという国は何でも良く研究されるのだな。
感心するのですが、

軍隊では、
悲惨な現場やオイルや硝煙の臭いの中で
食事をする必要があり、
しかも通常の2倍3倍のカロリーを取らないと、
倒れてしまう位の運動量なのだそうです。

(戦場で)沢山食べさせる。

というも軍事研究の一環であることを知ると、
ますます、本書の説得感を増すのです。


こんな感じで、
本書は心理学・行動学の面から
太ってしまう理屈が分かる本です。

私個人的には、
心に残る、凄い内容だったと感じます。

読み応えのある本ですが、
ダイエットに真剣に取り組みたい方には
かなりお勧めの一冊ですよ。!!



追伸)余談ですが、
Googleで「Mindless Eating」をひいたら、
「思慮のない○×」とでてきました。
ちょっと品の無い感じでしたが、
そういった意味もあるのかと・・・。


 
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