河名秀郎著「ほんとの野菜は緑が薄い」は、安全な野菜についての常識を覆す衝撃的な一冊です。

本日は河名秀郎さん著

「ほんとの野菜は緑が薄い」

をご紹介します。

2010年7月に出版された本で、
私が購入したのが2011年9月のことですから、
約3年間、積ん読本だったわけです。

最近このパターンが多いです。(汗)

良書という情報を知り購入したわけですが、
なんか難しそう。というか、
私の仕事や生活とは直接的には関係ない
農業の話しで、つい時が経ってしまいました。

しかし、本書を手にとってみると、
あまりの内容の面白さに、
どんどんページが進む。

そんな本でした。


著者の河名秀郎さんは、
大学卒業後サラリーマンを経て農業に至ります。

きっかけは、
著者のお姉さんが病気で亡くなったことです。
食べ物について真剣に考えるようになり、
自然農家に弟子入りした後、農家と成ります。

「虫が食っている野菜はおいしい。
 虫が食うぐらいなんだから」

とは、私も田舎育ちなので良く耳にしました。

実家で作るキャベツの外皮をめくると、
ほぼ青虫が入っているのですが、
これが安全な有機野菜の証拠と思っていました。

しかし、本書を読むと、
有機野菜は安全!という、
世間の常識を覆す内容のオンパレードです。

例えば、
奇跡のリンゴ」でおなじみの木村秋則さんの
本にもある、腐敗実験※が本書でも紹介されています。

※腐敗実験とは、
 農薬を使って作った野菜やお米と、
 農薬を使わないで作った野菜やお米を、
 消毒した容器に保管して、どのように変化
 していくかを観察する実験。
 農薬を使って育てたお米や野菜は、
 二週間程度で酷く腐敗していく。

農薬を使ったお米や野菜が腐ることは、
木村さんの本を読んで知っていましたが、

有機農法で作った野菜も同じように
腐ってしまうとは知りませんでした。

本書に寄れば、
堆肥(牛や豚の糞がベース)を
利用した有機農法だけでなく、

刈った草や米ぬかを利用した、
植物性肥料でもダメなのだそうで、
私的にはショックです。

そして驚くことに、
腐敗実験では、堆肥を使った有機農法の野菜が、
農薬を利用した一般栽培よりも先に腐るのだとか。。

有機栽培を売りにしている農家や
お店は沢山ありますが、
本当に大丈夫?と感じます。


無農薬野菜には虫がおり、
良い畑の土にはミミズがいる。
こんな話しも、小さい頃から聞かされています。

しかし、
道ばたの犬の糞に虫が集まるのと、
畑に虫が集まるのは同じ理屈ということで、
こちらも衝撃的な話しです。

虫があつまるのは、自然にとって不自然な
土壌を分解するため。
というのが自然農法の考え方で、
有機農法といえども、過剰に栄養価の高い
不自然な土壌で作られる野菜やお米は、
やはり不自然ということなのです。

自然農法では、最初の土から農薬や
肥料の成分を抜くために数年をかけます。

その間収穫はメチャクチャとなるそうですが、
いつしか土壌が綺麗になれば虫もいなくなる
のだそうです。

このようにして、
自然に近い状態になった土で作られた野菜は、
腐敗実験でも腐ることなく発酵※するのだそうです。

※漬け物と似たような状態です。


本書で唯一疑問なのが、
とは言っても、何年も野菜(植物)を育てていれば、
いつしか、土壌の栄養成分が無くなって行くのでは
ないかということです。

アマゾンのレビューを読むと、他の方も
同じような疑問を書いているのですが、
本書の中には答えが無く、
これは他の本格的な自然農法の本を読んで
勉強するしかないと思いました。


他にも衝撃的なのは、野菜の種の話です。
私の常識でも種は、農協やホームセンターから
買う物で、自分で種を取ることはしません。

この販売される種がくせ者で、
見た目綺麗な野菜を作るため、様々な特徴となる
成分を合成したF1種という種なのだそうです。

しかもこの種は、虫に食べられないように、
農薬でコーティングされています。

F1種で栽培した野菜から種を取って、
植えると、ろくな野菜ができないそうですが、
そもそも子孫が残せない種の野菜を食べている
のだと思うと、若干寒気がしてきます。

一見、野菜は年々おいしく、形も良くなるのですが、
年々本来の栄養成分が薄れた、
謎の野菜に変貌しているわけです。


こんな具合で、
本書は心に残ることが沢山あるのですが、
なかでも、

「大昔、地球に土は無かった。」

という話しは個人的に心に残りました。

言われてみれば全くその通りで、
なんとなく、石や砂が細かくなって堆積した
物が土と思いがちですが、
土とは何かしらの生物活動の結果なのです。

以下Wikiより。

「土壌とは、地球上の陸地の表面を覆っている
 生物活動の影響を受けた物質層のことである。
 一般には土(つち)とも呼ばれる。」


当然のように、山の土と海の近くの土では、
生き物も植物も異なるため、土の成分も違います。

すなわち栽培に適した野菜も違ってくるのです。
本来このような土や風土の特性をもとに
野菜の産地が生まれる訳です。


本書はある種、食にまつわる裏話満点の本で、
私にとっては小さい頃からの常識を覆す
衝撃的な本でした。

最近は植物工場など、
土を使わない栽培法も流行っています。

密閉した室内で、害虫が来ないことから
農薬を使わないで安全をうたっていますが、
コレもどうなんだろう。
・・と疑問を持たずに居られません。

食に感心がある方に是非お勧めしたい、今日の一冊です。



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