黒川伊保子著「運がいいと言われる人の脳科学 」は、息子を思う母親の気持ちが脳科学で語られます。

年末に部屋を掃除したら、
2年ほど前にアマゾンで注文し、
・・・そのまま箱に入っていた本達が出てきました。(汗)

今日はその第三弾として、黒川伊保子さん著

 「運がいいと言われる人の脳科学

をご紹介します。

著者の黒川伊香保さんは、
この道30年の脳科学者です。

女性脳科学者と聞けば、
さぞかし頭が良い方、どんな才女かと思われるでしょう。
はい。そのとおりです。
すごい方です。

・・といいますのは、
あるセミナーでお見かけしたことがありまして、
短時間ではありますが、話しを伺う機会がありました。

そして、思ったのは、
私がこれまで出会った女性のなかでも、
トップではないかと思うほど、
切れ味鋭く、言葉も巧みな大人の女性だったのです。

本書によると、
旦那さんと成人した息子さんがいらっしゃるとのことですが、
彼らから奥様・お母様の話を聴いてみたいものです。


さてさて、、
本書のタイトルは、
”運がいい” といわれる人の ”脳科学

ですので、
運が良い人を脳科学的に分析した
本と思って購入すると、間違います。

本書は、幾つかの雑誌の記事4年分を
まとめて、文庫化したもので、
その時は、脳科学はテーマとしてあったと思いますが、
”運”は無かったのではと勝手に”想像”します。

仮にも脳科学者が書いた物として、
運が良い人は脳が良い・・位の記述で終わっているので、
なんじゃこりゃ。と思うかもしれません。

そんな黒川伊香保さんの代表作は、

↑「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」と思うのですが、
(そういえばご紹介していませんね。)

私が本書を購入したのは、上記の本を読んだ後に
セミナーで黒川伊香保さんを知り、
どんな本を書く人なのか改めて
読んでみたいと思い本書を購入したわけです。
(・・しかし、それから2年も忘れていたという・・)

購入に当たっては、
本書が脳科学というよりも、
エッセイ的なものと知りつつ購入しました。

実際読んでみますと、
前半は脳科学的な知識を得る系の内容が多いのですが、
後半は特に成人した息子さんの話が多くなります。

特に息子さんへの愛情が書かれるのですが、
母親というのは息子に対し、このような感情をもっているのか。
・・等と、様々な想像がふくらみます。

そしてポイントは、
脳科学者のお母さんが書いているところで、
そこらのおばちゃんとは違う話しが解説として
加わり面白いのです。


そんなわけで運の話しは殆どありませんが、
脳科学的な話しは沢山あります。

印象深いところを少し紹介してみると、

★人は人生最大の神経回路で生まれ、3歳までに激減する。
 つまり人間はどんな環境でもできようできる形で
 生まれてくる。
 よく赤ちゃんは何語でも話せる能力をもっているが、
 親の話す言語以外の力は不要な物として
 無くなっていくという話しを聞いたことがありますが、
 それが3歳というわけです。
 

★人は一生頑張っても脳細胞の3%位しか使わない。
 ・・って事は無い。
 使わない機能が退化せずに残るわけがない。
 昔の測定器では判らなかっただけではないかと言います。
 私もついこの間まで信じていたのですが、
 本書を読んでようやく納得しました。
 へぇ〜。という感じです。
 これを知っただけでも、430円(本書の値段)の価値有りです。


★脳科科学上「いかによく眠るか」は「いかに頭を良くするのか」と同じ
 寝ている間に記憶が繰り返し再生され、そして定着する
 という脳のメカニズムを説いています。
 東大現役合格者の夜の勉強時間は2時間程度だった。
 という話しもありますが、良く寝ることと、頭を良くすることは
 同義なんですね。
 ・・といいつつ、夜中の3時にブログを書く私。まずい。


★後天的に手に入れた能力は、安定した力を発揮する
 生まれつき野球が上手い人、絵の上手い人・・・羨ましいですが、
 一般的にそういった才能在る人は、他の人に上手に説明できないので、
 コーチや監督として大成しないケースが多いと云います。
 そんあ天才型の最大の問題は、時に大きなスランプに陥り、
 抜け出せなくなってしまうことなのだとか。

 一方、時間をかけて後天的に得られた能力は、
 再現性があるため、経年劣化が少なく、しかも後輩に
 教える事もできます。

 本当のプロは、後天的に能力を得て、安定して成果を上げ、
 後輩を指導できる人材ではないか。と本書にあるのですが、
 私も苦労をして今の仕事を覚えたクチですので、
 嬉しくもあり、考えさせられる一文です。


★40代は物忘れの嵐
 というか、私の場合は全く覚えて居らず、
 若年性痴呆症か?と思うことも多々あります。

 本書によれば、
 30代までの脳は、インプット型の脳で
 50代中旬になると、連想記憶能力が最大となる
 らしいのですが、30代40代はその狭間にあり、
 脳が安定しないらしいのです。
 自分だけではなかったと、少しホッとしました。


★手は見える脳である
 本書では黒川伊香保さんが、ダンスを習いだしたとき、
 先生と手を組んだだけで、
 先生が作家志望だったことを見抜いた話しが紹介されます。
 女性は男の手に惚れるとか言いますが、
 握手をすれば、この人(男性)との関係の有る無しが
 判ると言います。

 手は口以上に物を言うということで、怖いのですが、
 そんな手は、脳の活性状態や自律神経のバランスを
 表すのだそうです。
 すなわちそうしたバランスの変化による、
 血流や温度変化に応じて手相が変わってくる
 ということで、
 手相はあながち馬鹿に出来ないのではないか?
 と本書を読んで思いました。


・・・と、
こんな具合で書き出すときりがないのですが、

中でも印象深かった話しとして、
男は「こころのよりどころ」との距離を測りながら
世界観を広げていくという話しがあります。

簡単に言うと、男子は、子供の頃は母親、
少し大きくなると実家や家庭を基準に行動し、
そして常にそこに戻っていくわけです。

本書では、男の子が小さいとき、
母親が動くと、男の子は母親から離れないが、
母親がじっとしていると、男の子は歩き回る
事例を紹介しています。

確かに私は上京して20年以上経ちますが、
いまだに実家から出稼ぎに来ている気分です。

ですから、世の男性も、
退職をして旦那さんの実家に帰る人は大勢いますが、
嫁さんの実家に帰るひとは多くない訳です。

男は何時までたっても実家が基準なのだ。
という事を本書を読んで改めて感じ、
そして納得しました。


他にも男女の恋愛の話しなど書いてあり、
(私的にはそちらのテーマがもっとも重要なのですが、
ここでは書きませんので、
興味があったら本書を読んでみてください。)

ま、とにかく、
男性の科学者では書けない本だと思います。
たまにはこういった女性の本も読んで、
世界を広げてみたいと思った今日の一冊です。


運がいいと言われる人の脳科学 (新潮文庫)

運がいいと言われる人の脳科学 (新潮文庫)


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